夏未さん、と甘い声で吹雪は夏未の名前を耳元で呼んだ。妙に色気のある普段より少し低めの声に夏未は思わず顔を赤くし、その顔を両手で隠したうえに横を向いた。吹雪は夏未のその行動が気に入らなかったのか少し強めに手を握り顔を自分の方に向かせ、今まで手で隠されていたやわらかい薄桃色の唇に口づけた。軽いリップ音がしたあと、今度は深く口づけてきた吹雪に夏未は目を見開いた。完全に夏未をとらえた吹雪は満足そうに微笑んでみせた。

「夏未さんが可愛いのが僕をこうさせてるんだよ」
「可愛くなんて…私なんかよりよっぽど音無さん達の方が可愛いわ」

少しシュンとしながらそう口にすれば吹雪はクスリと小さく笑って、夏未の頬を撫でて、それから額にキスを落とした。その意味が分からず首を傾げる夏未に彼は優しく囁くのだ。「そういうところが可愛いんだよ」と。その言葉に夏未は顔をさきほど以上に赤くして吹雪から視線を逸らそうとするが、吹雪がそれを許すはずがない。夏未が横を向く前に唇を奪い、Yシャツのリボンに手を掛けた。リボンを外し、ゆっくり一つ一つボタンを取っていくと、日焼けを全くしていない白くてきれいな肌が露わになった。同時に形の良い胸も見える。そして全てが吹雪の手により露わになったとき、夏未は羞恥から目をつぶった。

「夏未さん、目をつぶらないで」
「だって…恥ずかしいわ」
「うん、それは分かってる。けど、僕は夏未さんの顔を見ながら抱きたいんだ」

そう優しく言った吹雪の声はどこかさびしく夏未はつい目を開けてしまう。するとそこには満面の笑みを浮かべた吹雪の姿。夏未はその瞬間さきほどの声が演じていたものだったことに気づいた。しかしもう遅い。吹雪は夏未の胸を優しく揉む。留守になっている唇には己の唇を重ねた。それから首に、鎖骨、そして胸と順に口づけていく。ちょうど臍あたりにキスをしたとき、夏未は今までの反応とは違う反応を見せた。くすぐったそうな、気持ちよさそうな、よく分からない反応だった。

「臍、弱いの?」
「分からな、い…っ」

そう言う夏未は、とても艶っぽい。どうやら夏未は臍のあたりが弱いらしい。吹雪はそれを確信した瞬間、何かとんでもない悪戯を思いついた子どものように満面の笑みを浮かべた。夏未は嫌な予感がした。何をされるのか、そう思ったとき吹雪は夏未の臍周りにキスの雨を降らせた。ちゅとリップ音がするくらい強めに口づけられ、夏未はさきほど以上に甘い声を漏らす。体を少し揺らしながら声を漏らす夏未を見て吹雪は満足そうな様子だ。そして夏未の甘い声を聞きながら思った。「やっぱり夏未さんは可愛い」と。


Love is blind
(恋は盲目)

−−−−−
▽20万打:未谷羽さん
リクエストありがとうございました。
(120127)



×