「みなさーん!休憩です!」

ホイッスルを鳴らした後、そう叫ぶのは野球部のマネージャーであるハル。先月入ったばかりの新人マネージャーだ。3年のマネージャーとはもう仲が良く、週末にはよく遊びに行くそうだ。そのせいで俺との時間は少なくなっている、いずれ一緒に下校する時間しかなくなるんじゃないかと俺は心配になってくる。けどそれよりももっと心配なのが、ハルに好意を持つ男が複数いることだ。俺が知っているだけでも、3人はいる。人懐っこい笑顔も気配り上手なハルは野球部のアイドル的な存在だ。好きになっても無理はないと思う。でも、もう少し危機感は持ってもらいたい。

***

部活終了後俺はハルとボール運びをしていた。暗い倉庫の中を静かにゆっくりと探りながら歩いて、ボールが置けるスペースを探す俺とハル。数分してそのスペースを見つけた俺は後ろにいたハルからボールが入った籠を受け取りそこに置いた。そして戻ろうと振り返ったときだ、ガラと戸が閉まる音がした。声を出す暇もなく鍵を閉める音まで聞こえてきた。急いで扉の方へ向かうが視界が暗すぎて何も見えない。結局俺が扉へたどり着く前に足音は遠ざかっていった。俺は諦めて、先ほどから声が聞こえないハルを探すことにした。ハルのすすり泣きが聞こえてくる方向へ慎重に歩き、手探りでハルを探す。そしたらハルは俺の腕につかんできた。そしてそのまま抱きついてきたハルはガタガラと震えていた。

「ハル、大丈夫だから。少し落ち着け。…そうだ、携帯持ってるか?」
「も、ってます。…はい」
「ん。ほら、これで俺の顔見えるだろ?」
「は、い」

俺が携帯の明かりで自分の顔を照らせばハルは少し落ち着いたのか、ほっと息をついた。そして笑顔も見せた。けれど瞳にはまだ涙がたまっていて、それがキラキラと光って見えた。綺麗に輝く涙を舌で舐めとればハルは驚いてひあっと悲鳴をあげる。色気のない悲鳴に思わず吹き出せばハルは拗ねてぷくっと頬を膨らませた。可愛いなあ。

ハルの首筋に顔を埋め今度は首元を舐めれば、ハルはさっきの色気のない悲鳴とは違う艶やかな声をだした。あまりにも色っぽくそそる声に、俺はぞくぞくした。せめるように鎖骨に口付け、携帯を持つ手と反対の手で胸に触れる。今度はゆっくりとYシャツを脱がして下着越しに胸に触れた。

「だ、めです…」
「これからだよ、ハル」
「ふえ…?」
「こっからが本番。俺の本気だ」

俺はそれだけ言ってハルをマットの上に押し倒した。ハルは怯えたように俺を見つめるが、それは逆効果なだけだ。もう誰にも俺は止められない。


気がつけば、俺は、溺れていた
title by Aコース

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▽20万打:さらさん
リクエストありがとうございました。
(120115)



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