!R15注意



この清水薫という女は初めて出会ったときから男らしく、そしてとても女らしかった。

「…フッ」
「な、に笑ってる、んです…か?…んぅっ、」
「ただの思い出し笑いだ」

薫と出会ったときのことを思い出して、情事中だというのについ思い出し笑いをした薬師寺に薫は不思議そうに尋ねたが、薬師寺はその訳は答えず適当に答えた。薫はフーンと、とくに追究などはせずに、再び意識を情事に向けた。薬師寺は無表情のまま、薫の体を愛撫し続ける。ゆっくりと優しく、けれどだんだんと激しく。度々訪れる快感の波に呑まれそうになり、薫はその度に声を切なげに上げる。しかし薬師寺のせめはそんなものじゃなく、指だけで思わずイキそうになるくらい気持ちがいい。

「ん…ぁ、っふぅ…やくし、じさっ」
「何だ、清水」

いつも薫の感じる場所ばかりをせめるくせに、イキそうになると薬師寺は愛撫をやめてしまう。薫はそれがもどかしくてたまらない。薬師寺が「続けて欲しいなら自分の口で言え」と言うが薫にそんな恥ずかしいことが言えるはずもなく、行為の再開が中々されないのだ。薬師寺は薫のそんな表情を楽しそうに眺めている。薫はそんな薬師寺を潤んだ瞳で睨みつけてみるが、薬師寺はそんなことを気にもしておらず無表情のまま口角を少し上げているだけだ。そんなスカした態度にムッとする薫だが、そんなところも含めて薫は薬師寺を愛している。薫は無表情の薬師寺の頬にキスをして、

「愛しています」

と囁いた。するとそれまで表情を崩さなかった薬師寺が、初めて表情を崩した。優しく薫に微笑みかけたのだ。それは一瞬だったが薫にとってとても嬉しい出来事だった。

「もっと…、笑顔を見せてくださいね薬師寺さん」

そう笑って言うと、薬師寺は「気が向けばな」と言ってもう一度笑った。


>彼女が求めるなら笑いましょう
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▽20万打:茜さん
リクエストありがとうございました。
(120122)



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