!同居設定



一つの屋根の下で恋人と暮らす、というのは志摩の叶えたかった夢の一つだ。周りからすれば、どんなに小さい夢だとしても、しえみと暮らせるということはとても幸せなことだった。毎日家に帰れば大好きなしえみが笑顔で迎えてくれる、そんな幸せな気持ちにさせてくれるのはしえみだけだ。志摩は一日の疲れも吹っ飛ぶような笑顔を毎日玄関で見て、幸せをかみ締める。

その日は、志摩が帰ってきたときには夕飯ができていた。数ヶ月前は殺人的な料理の腕前だったしえみは、いつの間にか食べられる程度の腕になっていた。不思議に思って聞けば、しえみは燐に時間があるときに料理を教わっていたらしい。それは志摩のために行ったことで、聞いた瞬間志摩は瞳を潤ませて喜んだ。しえみも、そんな志摩を見て嬉しそうに微笑んだ。

「杜山さん今日もかわええなあ」
「あっ、志摩君駄目だよ。ご飯冷めちゃう」

志摩が我慢できず、靴も脱がずにしえみを抱きしめればしえみは咄嗟のことでよろけてしまう。しかし志摩がしっかりしえみを支えており、倒れることはない。しえみはふさふさのピンク色の髪を優しく撫でながら、そう言うと志摩は嫌々とでも言うように首を横に振る。そんな志摩が可愛く思えて、しえみも抱きしめ返してしまう。すると、志摩はしえみを抱きしめる腕に更に力を込めた。閉じ込めるようにして強く抱きしめられたしえみはもう逃げられなかった。志摩の甘えモードのスイッチを完全に押してしまったのだ。

「離れたない。杜山さんともっとくっつきたいですもん」
「もう志摩君ってば。じゃあ、あと5分だけね?」
「んー…、10分やな」
「ふふっ、じゃあ10分」


好きになるほど我儘になる

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▽20万打:小枝さん
リクエストありがとうございました。
(111018)



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