!原作から5年後のお話
感動的な終わりを迎えた青葉達はそれからそれぞれの夢に向かって歩き出した。そんな暑い夏も、今日で5年前の話になる。青葉は家に置いてあったアルバムを1ページ1ページ丁寧にめくりながら当時のことを思い出していた。光と言い争いしていたある日のこと、東に何度も背中を押してもらったこと、たくさんの思い出。今思えば光との言い争いは何とくだらないことだったか、と笑えてくる。けれどそれも一つの大切な思い出。青葉はゆっくりとアルバムを閉じて、気持ちの良い風が吹く店の外に出た。
「…懐かしい、顔ぶれですね」 「何だよ青葉。お前が寂しがってると思ってわざわざ帰ってきてやったのに」 「別に寂しくなんてないですけど?」
外に出てみればそこには何故か彼らがいた。驚きのあまり素直になれず、ツンとした態度で言えば光は眉間にしわを寄せた。しかし東や朝見や千田達は青葉の変わらぬ姿に喜びを感じていた。だが中身は変わっていなくても外見はかなり変わったわけで。大人びた長めのスカート、髪は肩より下まで伸ばしていてほんのり化粧もしていて、だいぶ女性らしくなっていた。
「月島だいぶ変わったな。あ、もしかして俺のために可愛くなってくれたとか?」 「その可能性はないですご心配なさらず」 「…やっぱり変わってないな月島」
ちょっとした冗談のつもりがこんなにはっきり拒否されては千田は何も言えなくなった。うっすら目に涙を浮かべている。そんな千田に同情する気にもなれなく、光達は千田をほっとくことにした。
「何でここにいるんですか?」 「ちょうどオフが続くから久々に月島に会いに行こうかと思ったら、途中で樹多村達と会った」 「ああ、なるほど。会いたくもないのに偶然会っちゃったんですね」
青葉が冷たくそう言えば東以外の男たちはショックで少し涙目になっていた。好意を寄せている相手にそんなことを言われれば傷つくのは無理もない。しかし当の本人は何にも気にしていないようだった。そして少し時間が経ったあと、青葉は思い出したように言った。
「お腹すいてませんか?私がちょうど今作ったパスタがあるんです」 「え、ちょ、ま、つ、月島の手作り?」 「ええ、何か文句でも?」 「俺は食べるよ。折角作ってくれたのに食べないなんてもったいないし!」
それまで黙っていた朝見が「ハイハイ!」と元気よく手を挙げて店の中に入っていくのを見て光達も急いで店に入った。
何年経っても君争奪戦 (抜け駆けはさせねえっての!) (ちょっ!いらないって顔してたくせに!俺の食べないで下さい!)
−−−−− ▽20万打:ミロさん リクエストありがとうございました。 (110927)
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