久々のオフを一緒に喜んでくれたのも俺は嬉しかった。けど何よりは嬉しいのは、彼女もたまたまその日がオフで一緒に過ごせることだ。ここんとこずっと練習ばかりで、千代の顔を見ていない。だから、早く会いたくてたまらない。こんなにも千代に会えない日々が辛いとは思わなかった。ここまで夢中になったのは、野球以外では初めてだ。彼女はいつも優しい笑顔で俺を元気にしてくれる。

そんな彼女が愛しくて、俺は毎日のように夢を見る。俺の傍には千代がいて、いつでも笑いかけてくれる、そんな幸せな夢。今も、夢の中で、彼女は笑いかけてくれる。

夢?いや、夢じゃない。俺は、今千代と一緒にいる。現実だ。

「準太さん?」
「あ…夢を見たんだ」
「夢、ですか。どんな夢を見たんですか?」

目を開ければ俺の視界には千代がいた。どうやら、彼女の膝で少しの間眠っていたらしい。俺が夢のことを言うと、彼女は優しい笑顔で俺にそう問いかけた。俺は目をつぶって、夢の内容を思い出しながら千代に夢の内容を話した。

夢の中で、俺は千代と幸せそうに笑いあっていた。そして俺達の傍には一人の子供がいて、その子供は俺と千代のことを「パパ、ママ」と呼んでいた。よく見てみれば、確かに千代に似た可愛い女の子だった。

それを言ったら千代は少し頬を染めながら、「素敵な夢、ですね」と言って微笑んでくれた。

「できれば、夢じゃなくて正夢になるといいんだけどな」
「…え?」
「千代、将来俺と結婚しないか?」

突然のプロポーズに驚きながらも、千代は笑顔で頷いてくれた。そしてこぼした涙はあまりにもきれいで、俺の胸はどきりと鳴る。ああ、俺は千代が好きすぎるな、なんて心の中で思いながらキスをした。


夢なんかではなくて、現実に

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▽15万打:星ツ狼さん
リクエストありがとうございました。
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