▽葵視点
私たちのバレンタインは少し変わっている。
世間で言うバレンタインデーっていうのは女の子から男の子にチョコを渡す行事だけど、私たちのバレンタインデーは、チョコを交換し合う日だ。お互いに気に入ったチョコを見つけて買ってきて当日に渡す。相手の好みのものを選びながらも自分の好みであるかどうかもポイント。だって最終的には二人で一緒に食べることになるから。
「あーおい!今年のチョコはこれだよ!」 「あ!そのチョコ私が最後まで買おうか迷ってたのだ!」
天馬と私は好みが似ているらしく毎年お互いが、候補にあげていたチョコのどれかを買ってくる。去年なんて同じのを買ってきたぐらいだ。私のチョコも出してみると、天馬が「俺もそれと迷ってたんだよね」なんて笑って口にした。
「じゃあ早速食べよっか」 「うん!そうだね!」
いつものように二人肩を並べて二種類のチョコレートを食べ比べる。結局こうして二人で食べるなら一緒に買いに行けばいいんだけど、天馬の為に色々考えながら選ぶ楽しみがなくなってしまうのはさみしい。だから今までずっとこういう形できたのだ。
「流石天馬だね!私の好みばっちり抑えてる!」 「葵もね!」
にっこり微笑み合ってチョコレートをほおばる。何気ないこの日常が最高の幸せなんだと感じる。これから先もこうしてチョコを交換し合える仲でありたいと、私は小さく願った。
ほんのささやかな願い (ねえ、天馬これからも隣にいてもいいよね)
−−−−−− 2013/02/14:バレンタイン企画
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