▽ザナーク視点


珍しく向こうから話しかけてきたと思えば、顔をむっとさせながら何かを差し出してくるベータ。それが何なのかは分からないがとりあえず受け取る。

「なんだこれは」
「さあ?なんでしょう」

持ってきたのはお前だろうが。だがここで言い返すといつものように言い合いになるのは分かっている。だから言い返したい気持ちを抑え大人しく中身を確認する。ベータらしくオシャレに包装されているそれを慎重に開けていく。
すると中から出てきたのは。

「ちょこれーと?」
「なあに、私からのチョコじゃ不満ですか?」

むっとしながらそう口にするベータ。いや、不満とかそんなんじゃなくて。どうして俺にチョコレートなんてくれるんだ。こいつ俺のこと嫌いなんじゃねえのか。あ、もしかして毒入りチョコとか?俺を消そうとしてんのか?

「今、失礼なこと考えたでしょう。心配しなくて毒なんて入ってないですから」

表情に出ていたのかベータは怒ったようにそう俺に告げる。流石に失礼だったか。悪いと謝れば俺が謝るとは思っていなかったらしくひどく驚いた表情をされた。そっちも十分失礼だろうが。そんなことはまあ置いておきベータがくれたチョコを一粒食べてみた。手作りであろうチョコレートは少し溶けかかっていたが、甘さはいい感じだ。チョコ特有のくどい甘さではない。俺好みに調整されているような気がした。
俺が食べる姿を不安そうに見つめるベータが少し可愛く見える。

「心配しなくてもうめえよ」
「…別に心配なんてしてませんから」
「そうか。あ、それと俺結構お前のこと好きだぜ」
「!!!!」

ぷいっとそっぽを向くベータに俺は思わず笑うとベータに笑うなと怒られた。だがその顔は真っ赤でお世辞にも怖いとは言えない。結構可愛いとこあるじゃねえか思いつつ、残りのチョコを口に放り込んだ。


たった今恋心発見しました

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2013/02/14:バレンタイン企画
まぐのりあさんリクエスト



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