「どうしてこうなった…アルか」
神楽の前で行われているのはピコピコハンマー対決。銀時と近藤のふざけ合いで始まったちょっとしてお遊びゲームのはずだったのだがいつの間にかメンバーが倍に増え大事になってしまった。その原因になったのは神楽のある言葉であった。
それは数時間前の出来事である。
***暑い夏をただだらけて過ごすのも勿体無いからと外に出かけることにした神楽と銀時だが、特に予定も立てずぶらりと出たため行くあてもなくただ汗をかきに外に出た形となってしまった。もう動きたくないと駄々をこねる神楽に銀時は少しでも涼しい場所に連れて行ってやろうと噴水のある公園に向かった。
公園に着き木陰にあるベンチに座ると神楽は唐突に「バカンスに行きたいアル」と呟く。銀時が「俺だって行きてえよ」と呟いた瞬間ベンチの後ろに茂みからゴリラ、基近藤が現れたのだ。何故か某南の島のリゾート地宿泊ペアチケットを持って。
「ゴリラが手に持ってるそれって、アレアルか。バカンスに行けるチケットアルか?」
「そうだとも!!チャイナ娘これが欲しいんじゃないのか!?」
ほーれほれとその手に持ったチケットをひらひらと神楽の前で振ると神楽がそのチケットに飛びついた。だが神楽の身長では届かない位置までチケットを持ち上げる近藤。むっとした神楽が近藤を見上げると勝ち誇った顔をしている。
(ムカつくアル!ゴリラのくせに!)
むっとする神楽の様子を横で見ていた銀時がおもむろにそのチケットを掴んだ。何をする、といった表情の近藤に銀時はニィと笑いながら
「神楽と俺で行ってくるんで安心してくださいよ近藤さん」
「な、っ!」
「神楽の保護者みたいなもんだからね俺。なあ、神楽」
「まあそうアルな」
神楽としてはどっちが一緒でも良かったのだがどうせならいつも近くにいる銀時の方が行動しやすいと考え銀時の提案に乗っかることにした。だが近藤が納得などするはずがない。自分が必死になって手に入れたペアチケットを他人に奪われるなんてとんでもない、と。それなら勝負だ、と突然出したのはピコピコハンマー。一体どこからなんてそんなこと銀時にとってはどうでもよかった。
今、頭の中には神楽とのバカンスのことだけ。
「いざ勝負!」
「「叩いてかぶってじゃんけ「あれー?局長何してるんですか?」
これからという時に声をかけてきたのは、山崎であった。その後ろには土方と沖田がいる。どうやらこれから外で昼食をとりにいこうとしていたところらしい。
そしてちょうど二人の対決が見えて気になってきたようだ。
これ以上ライバルが増えるのは勘弁だと考えた銀時が何とか誤魔化して3人を帰らせようとしたが神楽が正直に話してしまったためそれは叶わず。
にやりと笑い参加する気満々の土方たち。やってしまったと後悔するが時すでに遅し。
「話は聞かせてもらったぞ銀時!!」
後ろの茂みがガサガサと揺れたと思えば現れたのは桂と坂本と高杉だ。
(なんつーメンバーだよおい)
一緒にいることが考えられない面々の茂みからの登場に銀時は一瞬戸惑う。しかしそれよりももっと重大なのはライバルがまた一気に3人増えたことだ。
彼らもまた神楽に好意を寄せているわけであり、神楽とのバカンスを狙って参加することは必至だ。
「ここからは団体戦でいくんはどうじゃ?」
「それがいい。どっちかが負けてから、勝った方のメンバーで個人戦をした方がいいだろう」
坂本と桂はなにやら勝手にルールまで決めてしまっている。
近藤達の方もやる気満々でピコピコハンマーを片手にこちらを睨んでいる。銀時は面倒なことになったと小さくため息をつきつつも、近藤からピコピコハンマーを受け取り近藤達を睨み返した。
「それじゃいっちょやりますか」
銀時のその言葉に彼らは一斉に飛びかかった。
きみと行くバカンスを夢見て−−−−−−
▽15万打:ナイルさん
リクエストありがとうございました。
(20140606)