▽瀬方視点
「隆ちゃんは一体いつからマキが好きなの?」
いつだってコイツは突然だ。今だって突然そんなことを聞いてくる。何の準備もしていなかった俺はびっくりして、最近流行っているらしい飲むヨーグルトを勿体ないことに口から吹き出してしまった。そしてむせた俺をマキは心配そうにのぞきこんでくる。
「隆ちゃんきたなーい」
「んなっ!お前が突然変なこと言うからだっつの!」
大丈夫?くらい言ってくれるかと期待してみれば、これだ。心配そうな顔してたくせに、口を開けばただの生意気な女。もう少し素直になればいいのに、って言おうと思ったけど前にも言って怒らせたことを思い出してやめた。
それに素直なマキなんてマキじゃないし。素直じゃないマキが俺は好き、だし。
「で、いつなの?」
「言わなくちゃ駄目か?」
マキのことを好きになったのは正直覚えてないほどかなり昔の話。そんな前から好きだったってバレたらからかわれるに決まってるし、言いたくない。でもマキは一度聞いたことは相手から答えが返ってくるまで引き下がらないことを俺は知っている。だから、誤魔化しはきかない。…ああもう仕方ねえ。
「…初めて会ったときから好きだった」
「じゃあ、マキと同じだ!」
「は?」
「マキもね、隆ちゃんのこと初めて会った時から好きだったんだよ」
えへへーと頬をぴんく色に染めて笑うマキはすげえ可愛くて、俺は我慢できずに抱きしめた。珍しくマキが素直だ。いつもだったら右頬に飛んでくるパンチも今日は飛んでくる気配がない。俺は緩みっぱなしの頬を隠すようにマキの首元に顔を埋めた。くすぐったいよ隆ちゃん、とマキは言うが俺はしばらくその状態のままだった。
それを運命って言うんだよ
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