▽冬花視点
ほら、ただ唇を重ねるだけだよ不動君。そんなに悩む必要なんてどこにもない、ただ好きって気持ちを込めて唇を重ねればそれで終わり、何が難しいの?何をそんなに躊躇うの?ほら、早く、私に愛をちょうだい。
もう、いい加減にしないと私からしちゃうよ。…私からするのが駄目なら早くして。ねえ、どうしてそんなに顔が赤いの?不動君って意外とウブなのね。ふふ、可愛い。別に馬鹿にしているんじゃないよ、ただ純粋に可愛いって思っただけ。私が笑って言うと不動君は顔を赤くして怒る。
「お、おまっ。さっきからキスとか、かわいいとか…!恥ずかしくねえの…?!」
「ううん、別に」
即答する私に不動君は今度は困った顔をする。あまり見たことないこの表情はとても新鮮で思わずじっと見つめてしまうと不動君は顔を真っ赤にして顔をそらした。…相当の恥ずかしがり屋だと思う。少し見つめただけでこんなに赤くなるんだもん。
「不動君って、本当に可愛い」
「チッ、嬉しくねえっつーの。アホ」
「うん。アホでいいよ、気にしない」
そう言うと同時に私は不動君の唇を奪ってみた。予想通り不動君は頬を赤く染めたまま石像のように固まる。声をかけてみるけど面白いほど反応がない。
「…まだ、不動君には早かったかな」
石像のように固まったままの不動君に向かってそう呟いてみれば、彼は「うるせえ」とだけ口にしてその後は全く喋らなくなった。クスクスと笑って私はもう一度不動君の唇に口付けた。
ほら、君の白い頬が紅くなる
title by Aコース
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