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▼ 心の奥底に眠っていた本能

全てが終わり平和に暮らせるようになって2人は小さな家で仲良く静かに暮らしていた。毎日が楽しくて、今まで流してきた涙も無駄じゃなかったと思えるほど。あのときの苦しみは今のこの幸せな時間を過ごすために味わったもの。今ではそう思えるようになった。

「千鶴ー、先に風呂入っていい?」
「うん!平助君先に入って!」

にっこりと微笑みながら、体を拭くための布と着替えを渡す千鶴。それを平助も笑顔で受け取り、風呂へ向かった。

平助が風呂から出てくると夕食がほとんどできていた。千鶴の作る料理は絶品で、平助達が交代で作っていた料理とは違う美味しさがある。初めて食べたとき、温かくて優しい味で、女の人が作る料理っていう感じがしたのを今でも平助は覚えている。

(こんなに幸せでいいのか?幸せすぎて反対に怖い)

そう不安になるときもある。でも、千鶴の笑顔を見ればそんな不安も吹き飛んだ。

「千鶴、いつもありがと」
「うん?どういたしまして」

改まって礼を言う平助を、変な平助君といいながら千鶴は笑った。だよな、と平助もつられて笑った。


その日はいつもと違った。いつもはバラバラに寝るのだが今日は、千鶴が枕を抱きしめて平助の部屋を訪れたのだ。涙の痕が頬に残っていた。

「千鶴?どうしたんだよ?!」
「あの、怖い夢見て寝れなくなっちゃって…こっちで寝ていい、かな?」

小動物のように震えながら平助の方を見る千鶴。そんな千鶴を突き放すことなんて出来るはずもなく、平助は自分の布団に招きいれた。これがどんな事態を巻き起こすかも知らずに。
数十分経っても、千鶴は眠る気配がなかった。そろそろ平助は限界だった。こんな状態で寝れるはずもなく、目はバッチリ覚めた状態。

「…平助君、」
「ん?」
「うーんとね、大好きだよ」
「…な、なな何?突然!」

不意打ちにやられた平助。耳まで真っ赤な平助を見て千鶴は、可愛いと言いながら笑った。

(お前の方が可愛いんだっての、ちくしょー)

「そんなに笑わなくたっていいじゃんか」
「ごめんね、平助く、ん?」

いつのまにか平助は千鶴に覆いかぶさっていた。押し倒されたような格好で、身動きできない。千鶴は初めて平助を怖いと思った。これから何をされるか分かっているから怖いのかもしれない。

「千鶴はさ、俺をちゃんと男として見てくれてる?」
「見、てるよ?」

平助の鋭い瞳に、上手く喋ることができない。こんなにも鋭い瞳をした平助を見たのは初めてだった。

「じゃあこういうことされるかもっていうのもちゃんと理解してた?」

そういって平助は、千鶴の首筋をペロッと舐めあげ耳を甘噛みした。ひゃっと小さく声をあげる千鶴に、平助は優しい笑みを浮かべた。そして、千鶴の着物をゆっくり脱がす。

「あ、ま、待って平助君!私心の準備が…ひゃんっ」

千鶴のお願いは全く聞く気がないらしい。千鶴の敏感な部分をつまみあげ、口付けた。初めての感覚に、千鶴は何が何だか分からない状態になっていた。瞳には涙がたまる。だが抵抗する気はおきなかった。千鶴は、こうなることを心の奥では理解していたからだ。

「私、本当は平助君にこうされることをずっと望んでいたのかもしれない。だから、今すごく幸せだよ」

綺麗な笑顔でそう言う千鶴の瞼にそっと口付けをした。


心の奥底に眠っていた本能



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