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▼ 赤葦と潔子

》赤葦視点

「キス、しないの?」

こ首をかしげながらそう俺に尋ねてきた彼女はまさに小悪魔と呼ぶのが相応しいように思えた。

付き合ってから数ヶ月経つ俺達は未だに何の進展もなく、手をつなぐことさえできずにいた。原因は彼女にあるわけではない。俺が原因だということは重々承知している。手を握るという一件簡単そうに見える動作は意外と難易度が高く、俺にはそう簡単にはできそうにないと思っていたがそろそろ手ぐらいは…と葛藤しているうちに清水さんからとんでもない一言をもらってしまったのだ。

「え。あ、の」
「赤葦、私のこと嫌い?」

こんな表情の清水さんは見たことがない。たくさん不安にさせてしまったんだろうと思う。何も言わずに、清水さんを抱き寄せると清水さんが息を飲んだのが分かった。突然のことに驚きつつも清水さんは控えめながら俺の背中に手を回して俺に胸に頬をすり寄せてきた。そして滅多に見せない甘い表情を見せる清水さん。トクンと胸が小さく鳴る。

この腕の中の愛しい存在は絶対に手放してはいけないと、俺の心が俺に告げた気がした。


俺だけに見せてその表情

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Twitterの潔子さん受けワンドロ/ワンライ。9/20のお題は「梟谷×潔子」でした〜。赤潔さんすごく好きです。



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