▼ ルキアと織姫
死神にも有給休暇に似たものが存在するらしい。信じられない話だが、どうやら本当のようで。現に今こうしてルキアはその有給休暇なるものを使って現世に来ているのだ。織姫は滅多にないルキアの訪問を泣いて喜んだ。
「朽木さんっ、」
「泣くな井上。滅多に会えないといっても1ヵ月に1度はこっちに来るようにしてるではないか」
ルキアが困ったように笑いながら、まるで小さい子をあやすかのように織姫を抱きしめて背中を優しく撫でた。だが織姫は一向に泣き止む気配はなく、ルキアに強くしがみつき涙を流す。無事で良かった、そう何度も呟いては瞳から涙をこぼして、畳に染みを幾つも作る。
「ここでこうしていたら、時間が勿体無いであろう?井上のオススメの甘味処でも案内してくれぬか?」
優しく笑いルキアが言うと、織姫は泣きながらもふにゃりと笑って頷く。すると不細工になっておるぞ井上、と頬をつつきながらルキアはまた笑った。織姫はお返し、とばかりにルキアの頬をぷにゅぷにゅとつつきながらお餅みたい、と微笑んだ。
臆病でごめんね