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▼ 狩屋と空野

今俺に向けられてる鋭利な刃物。それを一体どうするつもりなのだろうか、と呑気に考えていたら空野さんは「つまんないの」と言ってその刃物を下に下ろした。いやいや、つまんないってどういうことですか葵さん。

「反応薄いよ狩屋君」
「あー…ごめん?」
「あ、別に謝る必要はないよ。私がただ面白い反応してくれるかなって、勝手に期待してただけだし」

そう言うと空野さんは、にししと、まるで悪ガキのような笑い方をした。中1になるという女子がその笑い方は流石にないんじゃないか、と思ったが口にするのも面倒で俺も笑って返す。

「それより何ではさみなんか持ってるの?」
「あ、これ?実はね、今日の校風検査に髪で引っかかっちゃったから、今から切ろうかと思って」

前髪を少しいじりながら空野さんはそう言った。きれいな髪なのに勿体無いな、と呟いた俺に空野さんは笑ってありがとうと口にした。それから「じゃあ切ってくるね!」と走り出した空野さんの背中を俺はしばらく眺めていた。

(やっぱり綺麗な髪してる)

風に吹かれてサラサラと揺れる髪を見てそう思った。


Scissors and you


ついったー診断のシチュお題「はさみ」から妄想。



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