「ちょ、ちょっと…」


静まり返った室内。二人分の重みを受けて軋むベッドの音とは別に、明らかな困惑を滲ませた歩の声が響く。


「何ですか?」
「何ですか、じゃ…ないわよ」


視線の先には、無様に捕えられた片足。掴まれた足首はグイと彼の胸元まで上げられて。その先の親指を、恍惚とした表情でねっとりと舐める男の姿は。


「すっ、スティラルカ…っ」


酷く扇情的で、ゾクリと身が震える。


「き、汚いでしょうが!」
「そんな事はありませんよー?こんなに…美味しいんですから…」


薄暗い室内、けれど月光をを浴びて淡く照らし出されていればそれだけで男の紅い舌先なぞ、嫌でも垣間見えてしまう。


「っ…やだ…」


瞳に映したのは、僅かに出した舌先を親指に近付けて、厭らしい笑みを口端に湛えた儘丸い爪を肉ごと口内へ含むシーン。視界を埋めたその光景に、脈打つ鼓動を抑えられず混乱する頭は考える事を止めて、ただ激しく振られるばかり。


「足の指は嫌ですか?恥ずかしがり屋さんですねえ…」


揶揄を多分に孕む言葉と共に忍び笑いを零しながら仕方無いとばかりに呟いて、それでも足首は離さずに男は唇を腓へと寄せる。薄く開いた唇は、其処を柔らかく、殊更ゆっくりと食む。歯を、立てる。
徐々に唾液に濡れゆく腓を満足そうに見詰めた後、今度は太腿へと顔を近付けて。


「ぁ…」
「ふふ…」


一瞬だけかち合った瞳は、悪戯な光を宿していた。




unbearable
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