「こなもんさん!!お菓子がありますよ♪」
「好きなだけ買って良いよ」
「やったー♪あ!!こなもんさん見てくださいこなもんさんのお面ですよ」

お祭りムードに包まれた学園を一人の大男が出店を見ながら歩く
その肩には水色の井桁模様が入った忍服を着た男の子

文化祭で人が多いこともあってか、はたまたこれもプロの忍びだからなのか
周囲は二人を気にすることなく通りすぎて行く

「こなもんさん、はいあーん」
「ん?くれるのかい、あーん」

普段二人を監視している不運委員長が見たら卒倒しそうな光景だが
幸か不幸かその委員長はここには居らず二人を止めるものもいなかった

「こなもんさん!ヨーヨーすくいがありますよ♪」
「やるかい?伏木蔵」
「はい!!」

壁には『五コつれば二コ差し上げます』と書かれている
お店のおじいさんにお金を払ってヨーヨーすくいを始める伏木蔵だが
こよりは水に弱くすぐに切れてしまった…

「…あぁ、切れちゃいました」

しょんぼり肩を落とす伏木蔵

「伏木蔵、どれが良い??私が取ってあげよう」
「本当ですか!!じゃぁ、あの縞々のやつがいいです♪」

伏木蔵が指差した水風船をいとも簡単に掬い上げる

「こなもんさんすごいですぅ〜♪僕全然ダメだったのに!!」

目を輝かせながらヨーヨーを受けとると早速ポンポンと打ち付け遊び始める

「さて、いたいけな子どもからお金を巻き上げるなんて商売人の風上にもおけんな」
「はて、何のことやら」
「このこより、普通の紙よりも柔らかい…これだと大抵の人間は釣り上げる前にこよりを切ってしまう」
「ふん、そんなのお前さんが勝手にそう感じただけじゃ」
「ほぅ…なら、ここのヨーヨーすくいはぼったくりだと言って回ろうかね」
「なっ…そんなことされると」
「困るだろうなぁ、そうだ!!『つれなくても一コさしあげます』って書き足すなら黙ってようかな」
「くっ…わかった…書きゃ良いんじゃな」

ヨーヨーで遊んでいた伏木蔵を大きな手が掬い上げる

「さて、伏木蔵行こうか♪」
「はい!!こなもんさん、おじいさんと何を話していたんですかぁ??」
「ん?ちょっとした大人の話をね…」
「ふーん…」
「どうしたの??もしかしてあんなおじいさんに妬きもちかい?」
「だって…こなもんさん僕の事ほったらかしだったじゃないですか」

頬を膨らませながらソッポを向いてしまった伏木蔵に口許が緩むのを押さえられないが
幸い口宛で隠れているので気づいたものはいないだろう

「伏木蔵ごめんね、こっち向いて」
「僕ばっかりこなもんさんが好きなんて…不公平です///」
「ん?」
「僕の周りにはこなもんさんで一杯です…お面にパペット、それにヨーヨーもこなもんさんの包帯みたいだからこれにしたのに…」
「伏木蔵…君はそんなに私の事を好いてくれているんだね、
でも私だって負けてないよ毎日君の事を考えているし何時だって会いたい、
今日も部下を多目に連れてきたのは君を連れ出した穴埋めをさせるためだからね」
「こなもんさん…」
「これでも足りない??なら私はどうしたらいい??」
「ちゅぅ…ちゅぅしてくれたら信じます///!!」

チュッ

言った直後唇に少しカサついたしかしほんのり熱を持った感触が走る

「これで信じてくれた??まぁ、これぐらいなら信じてくれるまで何度でもしてあげるよ」
「〜ッ/////」

口宛を指でつまみ上げる仕草に何が起こったのかを理解したとたんに顔から火が吹き出すほど赤面する伏木蔵

「さて、そろそろ皆のところに行こうか…」
「もう少し…僕顔が元に戻るまで、もう少し待ってください」

肩に顔を埋め首にギュッとしがみつく伏木蔵にまたしても口許が緩んでしまう

「そうだね、せっかくの逢い引きなんだからゆっくり、遠回りしながら行こっか」

先程より少し強めにしがみつく小さな手を無言の肯定とみなしゆっくり人混みに消えていくのだった





逢引しましょ♪






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -