時は平成
大川学園は中高一貫教育の全寮制学校でありその敷地を跨ぐためには
普段はヘッポコだが入門表の鬼がいると有名な学園であった
そんな学園に正式な手続きを踏まずして侵入する一人の男性
背は高く黒のロングコートにマフラーを巻き顔を隠している
男は手慣れた様子で学園の塀を越えるととある場所に向かって歩いていった
一方その頃…
「「お疲れ様です!!」」
「うん、おつかれ♪乱太郎も伏も気をつけて帰るんだよ」
「「はーい♪」」
大川学園中等部1年の猪名寺乱太郎と鶴町伏は高等部敷地内での委員会活動を終え、寮へと戻るところだった
「最初は慣れなかったけどやっと伏木蔵の姿にも慣れてきたかな」
「乱太郎、僕もう伏木蔵じゃなくて伏だよ!!
姿だけじゃなくて名前も覚えてもらわなきゃ…」
過去に伏木蔵として一緒に忍者を目指した旧友は
現在セーラー服のスカートをなびかせ、背中まである長い髪を下ろし
頭には可愛らしいカチューシャをした立派な女の子鶴町伏となっていた
「ゴメン…なかなか慣れなくてさぁ…
あ、男子寮こっちだからまた明日ね」
「うん、明日ね♪」
乱太郎と別れた伏は寮に向かって一人歩いていると、突然後ろから伸びてきた腕に口を塞がれ物陰へ連れ込まれた…
「プハァ、学園内で誘拐なんてすっごくスリルぅ♪」
焦った様子もなく状況を楽しむ伏
「昔とちっとも変わらないのは良いけど今は女の子なんだからもっと危機感を持ってくれないか…」
捕まえていた腕をパッと離し注意を促す声に伏は勢いよく振り返った
「こなもんさん!!会いたかったですぅぅ♪」
「私もだよ…伏木蔵」
「今は伏木蔵じゃなくて伏です…」
頬っぺたを膨らませながら抗議する愛しい女の子の頬に優しくキスを送り抱き寄せる
「こなもんさん…全然来てくれないから忘れちゃったかと思いました…」
「ごめんね、いろいろと準備や邪魔があってね」
「でも、会えたので許してあげます」
クスッと含みのある過去を彷彿させる笑いかたをする伏
「伏は会うだけでいいの?」
「…へ??」
「せっかく何百年ぶりに再会して、しかも伏は女の子になってるのに会うだけでいいの??」
「それって…///」
「敵対関係もなくなったし、性別も問題ない…後は年齢かな?
でも、それもあっという間に問題なくなる」
「え、だって…こなもんさん」
不意に体が浮き上がりとっさに目の前の昆奈門の首に手を回す
「もう昔みたいに片手で抱き上げることはできないけど、堂々と抱き締めることができる
…私と結婚を前提に付き合わないか??」
「/////…はぃ」
小さくか細い声だったがその声はしっかり昆奈門の耳に届いた
「これからよろしくね♪」
チュッと唇に落とされたキスは昔と何ら変わらない甘いものだった
時が二人を分かとうとも
…もぅ離さないよ