心遠距離恋愛

 
大遅刻(現在8月末)な神田誕Aです。
遅刻な上に祝う気はあるのかと言われそうなシリアス具合に仕上がりましたが、最後はハピエンですので、ご安心を…
多大な捏造と原作不足による妄想がふんだんに盛り込まれていますので、なんでも許せる方のみスクロールぷりーず。










!なんでも許せる方のみ!
















どうしよう

どうしよう

まだ実感はないけれど

確かに息づいた

ふたりの証





― 心遠距離恋愛 ―





任務に出てまだ2日。街の外れにいたAKUMAを破壊するだけのハズレ任務から早々と帰還して、コムイさんに報告を済ませる。
コムイさんやリナリーと少し談笑してから司令室を出て、ケガを診てもらうついでに婦長によって義務付られた、半年に一回の検診のために医務室へ向かった。



今まで引っかかったことのない検診を終えて、どーせ引っ掛からないのになー…などと考えながらソファーに腰掛け、ティムで暇を潰しながら処方されたケガの薬を待っていた。
そこに鬼を背負った婦長が詰め寄ってきた。直後ものすごい怒鳴られて、なんの思い当たる節もなくてすごく当惑した。



「貴女はしばらく任務に行かせません! どうしてもっと早く検診に来なかったの!?」



それを皮切りに、矢継ぎ早に何か言いながら怒り続ける婦長を宥めて説明を求めた。



「ちょちょ、待って、婦長っ!なんでそんなに怒ってるんですっ!?」
「何ってっ…――貴女のお腹に赤ちゃんがいるのよ!」
「………ぇ…?」



聞いた瞬間はフリーズした僕だったけれど、理解したときには結構冷静に思った。



『あぁ…もうここには居られないなぁ』



きっとお腹の子の父親は……。
きっと、と言うか、彼としかカラダを繋げたことがないから、それしかないんだけれど…。



「あの子にはきちんと伝えるのよ?…言いづらいかもしれないけれど、ちゃんと、神田には」



やっぱり婦長に隠し事はできない。僕と彼…神田がこんな関係なことは、回りは誰も知らない。こんな風に勘づいてる人はいるとは思っていたけれど…。



それにしても…まさか妊娠してたとは…確かに月のものはきていない。けれどこれは以前からだ。
幼い頃からの低水準な生活のせいか、半年こないことなどザラにあったから。




僕は神田を愛している。けれど、神田はどうかわからない。お互いに気持ちを言葉にしたことはないから。
正直、神田が僕のことを好いてくれて抱いているわけではないと思う。

いつも任務から戻った神田に抱かれて、朝起きれば隣はもぬけの殻。冷たいシーツがシワになってるだけ。
部屋の外で顔を合わせればいつもみたいにくだらない喧嘩をして…でも、それが僕に安心をくれた。


“あぁ、まだ嫌われてはいないんだ。まだ繋がっていられるんだ。”


…って。
だから、もし神田にこのことを伝えて拒絶されたら…。
そう考えると言えるはずがなかったし、いつバレてしまうかわからない教団にいるのが怖くなった。


任務から近々戻る神田。
任務が終わっても教団に戻ることなく任務に出続けていた神田とは、もう一月は会っていない。
ちょうどよかった。帰還して顔を合わせてしまえば離れ難くなるから…。



「でも、そうね。まだ3ヶ月だもの、気づかなくてもおかしくないけれど…」



などと、婦長はまだまだ言いたいことがあったみたいだけれど、体調が優れないから、と言えばすぐに解放してくれた。
部屋に戻ってから少ない荷物をまとめて、街に行くフリをして教団を出る。


街へ行くことは普通に出来たから、すれ違った人たちは優しく「いってらっしゃい」と声をかけてくるだけで何も不思議には思わないだろう。

出入口までは難なく辿り着いた。けれど、そこにはコムイさんが立っていた。



「コ、ムイさんどうしたんです?こんなところで」
「それはキミもでしょ?」
「っ、ちょっと街に行こうと思って…」
「…そんな荷物を持ってかい?」
「………、…」
「婦長にアレンくんは任務に就かせないでくれって、言われてね」
「……」
「…ちゃんと言わなくて、いいのかい?…神田くんにも…」
「―――っ…はは、バレてましたか。 ……まぁ、あの人が認知してくれるとは思ってないですしね」
「…そっか。…じゃあアレンくんに休暇をあげようかな。お腹の子が産まれるまでの、無期限長期休暇♪」
「……へ…?…いや、でも、」
「ここにいたら今はよくても、いずれバレちゃうでしょ?」
「はい…」



―― もし間違って中央の耳に入ったら、何を言われるかわからないしね。皆には“遠方で長期滞在任務”とでも言っておくよ。だから、早く行きなさい。…くれぐれも無理をしないように! ――



そう言って、コムイさんは背中を押してくれた。

ただでさえ少ないエクソシストで、一人抜けた穴は大きいだろうに。
きっとこれはヴァチカンの神にも中央庁にも反した違反行動。

それでも笑って送り出してくれたコムイさんに感謝して、僕は教団をあとにした。















数日後、僕はエクソシストになる前にお世話になっていた、師匠のパトロンのマザーのところにいた。
教団を出て身を寄せるところなんて、元孤児の僕にはないから。真っ先に浮かんだのがここだった。

この場所を知ってるのは当然だけれど、師匠だけ。
間違っても神田に居場所がバレることはないと思ってここに来た。



マザーとバーバには妊娠していることしか伝えなかったけれど、他は何も聞かずにいてくれて、二人とも孫が生まれると楽しみにしてくれた。
実は置いてもらえるか不安だったから、いつまでも居ていいと言われて安心した。


これくらい大した移動でもないのに、体が重くダルい。

教団から出ることはできた。あとは見つからないように、バレないように祈るだけ。

背いた神に願いをかけ、懐かしい部屋でいろいろ疲労困憊の体を休ませた。





<2へ続く>



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