(2007.04.06)



基本的に私は一人で任務することが多い。正式メンバーじゃないから、っていうのもあるんだけど、そのほうが都合がいいから。敵の人たちはだいたい、子供だからって油断してくれるし相手がいい人だと迷子かと助けてくれようとする人までいるの。だけどそれだけじゃなくて、むしろそっちよりこっちの理由のほうが重要。私は、みんなになんにも教えてないから。


「…first name」

「むう…ゼツー…?」

「任務ノ後ニ昼寝カ?」

「よくこんなところで寝れるね。」


突然地面からにょきにょき出てきたゼツに、そーだよー、と笑いかける。ゼツは、ソウカ、とだけ答えて私の足元にころがるしたいを見た。ゼツは本当にどこからでもどこにでも現われるから楽しいな、そんなことを考えながらしたいに視線を送りつづけるゼツに、食べちゃダメだよ?と笑った。悪いけど食べられちゃ困っちゃう。この人たちが帰らないのをふしんに思って里から探しにきた人にみつけてもらうの。それで、大切な情報がもれた!だとか巻き物がぬすまれた!だとかでいっぱいいっぱい焦ってもらうの。そうじゃなかったらせっかくのおもしろさがはんげんしちゃうから。にこにこ笑う私を振り返ったゼツは、楽シソウダナ、と口走る。だから私は正直に、楽しいよ、と返した。楽しくなきゃ、やらないよこんなこと。ゆっくりと立ち上がっておしりについた土や草を払って背伸びをする。それから今帰ったらたぶん角都とだんなに怒られちゃうから夕方までどうしようと考えながらその場をあとにしようとする。そしたらうしろからゼツが、first name、って私を呼び止めるから私は、なーに?と笑顔で振り返った。


「ヒトツイイカ…」

「なーに、どーしたの?」

「ソノ死体、外傷ガアマリ見当タラナイ…」

「うーん、そぉ?いちげきだったからかな?」

「first nameモ怪我ハシテナイミタイダシ、返リ血モ浴ビテナイヨウダガ…」

「私そんなヘマしないもーん。それがどうしたの?」

「ナラバfirst name、何故first nameノ任務後ハコンナニ必要以上ノ血デ溢レカエルンダ?」


やっぱり、きみょうに見えるのかな、とゼツを見ながら思った。ソレニ怪我ヲシテナイfirst nameカラモ血ノ匂イガスルゾ、と付け足したゼツに、おいしそう?と聞けば、少シ、と返ってきてゼツは素直だなと笑う。なんでと聞かれても私には答えられない。それはあっちに聞いてもらわなきゃ。私は笑顔のまま、それが私の戦い方なんだよ、と今答えられることを答えてあげた。そしてその場を去る前に、まだ納得できないという顔のゼツに、おあそびが終わったら教えてあげる、と告げる。そしたらますますゼツは顔をゆがませるから、あーおもしろい!くすくすと笑いながらその場から立ち去る私を、ゼツはもう呼び止めなかった。





殺戮少女の殺し方

(寄リ道シタラサソリガ怒ルゾ)(…だんなだけならまだましだもん…)(…また何かやらかしたんだ…)

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