(2007.04.01)



ゆっくりと辺りを見渡してトラップが何もないことを確認する。どうやらそれらしいものは見つからず俺はおもわず溜め息を吐いた。大抵、からかった次の日にfirst nameはそれは手の込んだ仕返しをくれるのだ。んなめんどくさいことをよくもまあ飽きもせずやるな、とも思うが、それを言ってしまえば俺だって何回トラップに引っ掛かろうと懲りずにからかっては奴を笑っているのだが。ああマジで性格悪いな俺。だがfirst nameは面白いくらい俺の嘘を信じてくれるのだ。特に心霊系統のは。何回騙されようと疑うこともない。犯罪者としてこれでいいのかというほど素直なのだ。それが面白くて可笑しくて、どうも止められない。


「危ないぞ飛段、うん。」


突然呼び止められて後ろを振り返った俺は何が可笑しいのか口元に笑みを携えたデイダラの姿を確認する。何だ何が危ねぇんだ、と俺が口走った瞬間、耳元で大きな爆発音が響いた。


「だから危ないって言ったのにな、うん。」


しかしどうやら飛段はギリギリのところでオイラの爆発を避けたようで、さっきよりも少し前の方で膝をついていた。もちろん当てようと思っていたのだから避けられたことに関しては当然腹立たしくも思うが、まあいい。下げていた頭を勢い良く上げ、飛段が何か文句を言い掛けたとき、オイラは待ってましたとばかりに声を上げた。


「いいぞfirst name!うん!」

「よーぉしっ!」


オイラの掛け声と共に上手く身を潜めていたfirst nameが飛び出してきて、それは見事に飛段の後頭部に蹴を入れた。ごんっ!と凄い音が辺りに響く。痛そうだ、うん。突然の衝撃に、ぐはっ!とおもわず声を上げる飛段を見たfirst nameはぷっと吹き出してから、やったーデイダラぁ!とにこにことこちらに駆けてきた。やったな、と嬉しそうなfirst nameに返してやりながら後ろで蹴られたところを押さえ痛みで肩を震わせる飛段をに、first nameをからかったりするからだぞ、とにやりとした笑みを向ける。いつもいつもトラップでは気が付かれるだろうから、というfirst nameの頼みで仕返しを手伝ってやることにしたのだが、なるほどこれは普通の悪戯などより全然面白い。おもわず笑い出しそうになるのを堪えながら、くそっ、などと悪態を付く飛段を見ていると、デイダラ…と呼ばれ隣に佇むfirst nameを振り返る。見ればさっきまでの清々しい笑みはどこへやら、顔を引きつらせたfirst nameの視線を追ってみて、刹那オイラも同じように顔の筋肉を強ばらせた。


「…率直に聞こう、何故廊下の壁が壊れている。」

「えっとね角都、これは…」

「テメェ…俺を待たすなと何度言ったらわかんだ…」

「ちっ違うぞ旦那、オイラ旦那を待たす気なんかこれっぽっちも…」


この組み合わせは最悪だろ、うん…。角都は壁の修理費がかかるとご立腹だし旦那は見ての通りだ。最悪としか言いようがない。横目で見れば今度は飛段がにやりと俺達を見て笑っていた。ムカつく。そのとき突然、デイダラ、と再び呼ばれ隣を振り向けばfirst nameは苦笑いを浮かべて、わっ私任務行くねー、と言ってあろうことか瞬身でさっさと姿を消してしまった。驚く暇もない。唖然としているオイラを見て飛段が笑い声を上げるのが聞こえたが、お前も同罪だからな、と目の前に立つおっさん2人に睨まれすぐに辺りは静かになる。とりあえず、今度からfirst nameに手を貸すときはfirst nameが任務のないことを確認しなくちゃな、と溜め息を吐いた。





悪戯少女の仕返し方

(しかしfirst nameの奴、やり方を変えてきやがるとはな)(というかこれオイラある意味でとばっちりだよな、うん…)

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