(2008.02.27)



コクリ、コクリ、コクリ、ガッシャーン!

突然辺りに響いた豪快な音にその場にいたほとんどの奴が目を丸くして音を立てた張本人であるfirst nameの方を凝視した。唯一俺だけがfirst nameの方を見ることなくただ己のこめかみ部分を押さえて深々と溜め息を吐いただけだった。first nameの隣に座っていたデイダラと飛段が両側から同じようにテーブルに伏せられたfirst nameの顔を覗き込もうとする。しかしながら顔面からテーブルに突っ込んだfirst nameの顔が見えるわけがない。


「またか、うん。」

「こいつまた寝ちまったぜぇ?最近寝過ぎじゃねーのか?」

「…飛段、first nameを起こせ。」


俺はこめかみを押さえたまま、怪訝そうな顔で言う飛段に指示した。あ?ああ、と短く返事をした飛段に揺すられるとゆっくりとその頭が上がっていく。ぼーと何処か一点を見つめるその表情は寝起きそのものだった。


「first name、机を見ろ。」

「…ん。」

「お前は今月に入って一体何枚の食器をその頭で粉砕した?」

「…えと…わかん、ない…。」


わからないのはこっちだと思った。俺は怒っているつもりだったのだ。なのに奴はわからないと言った後、ほとんど開いていなかった目を完全に閉じ再び眠り出したのだ。これには流石に閉口した。角都の説教スルーするなんて信じらんねーと呟く飛段に今回だけは同意したい。まったくだ。


「…くすり…」


完全に寝た、かと思えばfirst nameは急に目を見開きそんなことを呟いた。薬、とぼんやりとだが聞こえた気がした。しかしfirst nameが薬を欲する理由がわからなかった為、最初は聞き間違えかと思った。しかしそう聞こえたのはどうやら俺だけではなかったらしく、むしろその場にいた全員がそう聞こえたのだろう、デイダラと飛段は意味がわからないと言った風に首を傾げ今まで黙っていたイタチも、具合でも悪いのか、とfirst nameに問い掛けていた。first nameはしばらく無言でその場に座っていたが、ちがうよ、とイタチに返すと自分の身長よりも少し高めの椅子から飛ぶようにして降りる。唐突に立ち上がったfirst nameに、まだご飯が残っていますよ?という鬼鮫にfirst nameは静かに首を振ってみせていた。


「…角都、」

「なんだ、first name。」

「お皿割って、ごめんなさい。」


ぺこっと頭を下げながら言ったfirst nameは無表情だった。それが異様な雰囲気を漂わせていて、俺はこれ以上怒ることはできずただ、これ以上食器代がかさむのはごめんだ、と言うだけに留めた。うん、と返事を返したfirst nameはくるりと向きを変えてリビングから出ていく。最近変だよなアイツ、というデイダラの呟きを、俺は今だけは聞き流すことにした。





ぼんやり少女の変化

(だんなーくすりー…)(…大丈夫か、お前)(え?なんのこと?)(…)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -