一次創作 | ナノ





※夢小説じゃないです。完全に自己満文なので暗いのと意味不明なのが苦手な方は読まれない事をお勧めします。閲覧後の苦情はご遠慮ください。






好きなアーティストの曲をランダム再生していたら、気付けば君のことを考えていた。
そういえばもう直ぐ誕生日だと思って、花でも見繕うことにした。薔薇の花が好きだと聞いていたので、君には毎年薔薇を送る事にしている。とはいえ、薔薇は少々値が張るので、先に綺麗に見える花束を選んで、そこに長さを揃えて挿してもらう。今年はもう暑くなってきていたので、オマケに小さな向日葵の花も足してもらった。赤い薔薇が一本300円。向日葵が200円。ケースの中には青い薔薇もあって、素敵だとは思ったが一本400円なので今回は見送った。
その足でケーキ屋に行って君の好きな洋菓子を購入。自分用にも一つ買って、別の袋に入れて貰った。少しの力でぐちゃぐちゃに崩れてしまう小さなそれは、こんな時にしか食べないが甘くて美味しい。後で紅茶を飲みながら食べようと決めた。

「…あんまり頻繁に来てると、暇だと思われるかな。誕生日、おめでとう」
自虐気味に笑って、君へ花と洋菓子を差し出す。
"そんなことないよ、いつもありがとう"
「うん。相変わらず君はモテるね。羨ましいよ」
"違うって…!でも、この花が一番綺麗だよ"
「はは、それは良かった。最近暑いけど、そっちは……」
頬に雨が当たったような気がした。上を見上げるが、空は快晴。
「…そっち、は、」
ぽつり、また頬が濡れる。不思議だと思った。
"大丈夫?どうかした?"
こんな時、僕の心の中の君は優しく話しかけてくれる。実際にはそんな風に言わないだろう君は、僕の中で勝手に美化されて、今でも若いままで、こっちを見て笑っている。

「…なぁ、僕は、どうしたらいいかなぁ…?」
その場に崩れ落ちた僕を、抱き留めてくれる腕はない。本当は、君の声も笑顔も、僕の心が作り出した空想なのに。悲しいこと、苦しいこと、君の前で話せば少し楽になる気がする。
「呪ったって、何だっていいから、会いたいよ…っ!」
どんな話をしていても、結局いつもそう思ってしまう。ねぇ、確か、"そこに私はいません"って歌があったよね。でも夢にさえ出てきてくれない君に会うには、ここに来るしかないんだよ。
「頻繁には、来れなくなるかもしれない」
"君がそう決めたなら、大丈夫"
自分の中で決めていた事を、君に正当化して貰いたいだけ。きっと僕は一人では幸せになれないだろうけど、のうのうと生きている。今も、これからも。
黒い点が目の前で跳ねて、今度は本当に空が泣いている。少し変なのは、お互い様だろう?
背を向けると、一瞬だけ風が強く吹き抜けた。そうだね、また。その時は青い薔薇の花と、何か良い話を持っていけるといいな。そう意気込んで、僕は歩き出した。


END


本来読者様に喜んで貰うためのサイトに、このような文章を載せてしまい申し訳ないと思っています。けれど書かずにはいられませんでした。すみません。
管理人の大切なお友達の誕生日でした。残念ながら管理人には幻聴は聞こえないです。選んだ道に不満はないし、むしろ彼女らしいとも思うのですが、たまに無性にあの頃からやり直したいと思うことがあります。
ここまで読んで下さった方がいれば、本当に申し訳ございませんでした。ありがとうございました!
2017.06.28 emu
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