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お題*ラグナさんとカーバンクル

私の力で貴方を守ってあげる!そう言った時に、貴方は笑ってくれた。その時の笑顔を、私は忘れない。だって私は、初めて会った、あの時から、貴方のことが。

「いやあ、さっきは助かったぜ〜!お前にはいっつも助けて貰ってばっかりで悪いな?」
『ううん、そんなこと、ないよ!』
「はは、くすぐってぇってば!」

飛び乗ったラグナの肩の上。戦闘を終えたばかりのこの人は、武器を抱えたままいつもと同じように笑う。その笑顔が、私は好きだった。
さっきの戦闘は、ちょっと危なかった。ラグナは一人だったのに、敵のイミテーションがいっぱい居て、ラグナ、すごく大変そうにしてた。だから私も、頑張ったの。私の力でラグナを守ってあげたくて。私の力は、誰かを守るための力だから。大切な人を守る光、だから。
私がラグナの頬にすりすりってしたら、ラグナはお返しに、私の背中を指先で撫でてくれてた!それが私は、嬉しかった。一度辛そうに咳をしたけど、ラグナはやっぱり笑ってて、それが嬉しくて、嬉しくて。

「これからもよろしく頼むな?」
『もちろん!』

そして、ラグナが歩き出す。
ゆっくりと、どこかに、向かって。


私の力で貴方を守ってあげたい。
貴方がもっとずっと笑っていられるように。
貴方のことが大好きだから。
(でも、でも、なのに。)

『私、ラグナのこと守るね。ずっと、ずっと、一緒だよ、』

ラグナが歩いた場所に、点々と続く、赤い痕。
引きずるように、前に進む両足。
咳き込む度に散らばる、赤、赤。私の力と同じ色をしている、ラグナのいのち。


私の力が、癒しの力だったらよかったのに。
守る力じゃなくて、貴方を、救う力だったらよかったのに。
そしたら、そしたら、
そうだったら、よかったのに。


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111106

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