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お題*ウォーリアさんとオニオンナイト。オニオン目線。

「貴方にとって、護るべき人って、誰ですか。」

手合わせを終えたのはもう日が暮れかかった頃だった。上がった息を整え終えた僕は、隣を歩く騎士に問いかける。陣営に戻るべく、前を見据えながら歩いていたその人は、瞬き一つせず静かに呟いた。

「主と、仲間だ。」

通った声だった。凛としていて、美しい声。力強い声。意志の強い彼の言葉は、彼そのもののように思う。一欠片の嘘もない、不純物のない水晶のような瞳で、迷いなくそう答えた彼に、僕はもう一つ問いかける。

「好きな人は?」
「…難しいことを言う。」

そうするとようやく、僕よりもずっと高い位置で世界を見通す瞳が僕を映した。
困っているようには、見えない。むしろ、何の感情も感じられないような無表情だったけれど、出会って二日三日の仲ではないのだ。この人が、少し言葉を濁したのは、分かる。そんなウォーリアの幽かな感情の動きが分かったのが嬉しくて、僕は笑う。
誰よりも強いこの人。絶対に僕を子供扱いしないこの人が、僕は好きだった。純粋に、憧れていた。名前を忘れてしまっても、自分の存在が、自分が。ここに居る意味を持っていて、自分の意志で戦い続けていれば、僕はここに存在するのだと。
彼の背中が教えてくれているような気がして。

「彼は、私に護られねばならない程弱くはない。」
「強いんだね、」
「そうだろうか。」
「そうだよ。」
「強くなど無いさ、ただ、」

そんな彼の欠片に触れるのが、嬉しかった。今は無理でも、いつか、この人のようになりたいと思うから。
この人のように強く。大事な人を護れるように。

「そうあってもらいたいのだ。そうであって欲しい。そう信じていなければ、彼を失うかもしれない不安に、耐えられそうにもないから。」

そう言った彼は、やっぱり不安なんて感情とは無縁の何ともないような顔をしていた。
そして彼はまた、僕から視線を逸らし、前を向いた。歩く足は止めずに。まっすぐに、あの人達が待っている方に向かって。
歩幅の違うその人に置いていかれないように、僕も歩く。走って追いつこうとするのは格好悪いので、歩幅を広げて、あの子の待つ、ところへ向かって。

「やっぱり貴方は強い人だ。」

呟いた言葉に、ウォーリアは応えなかった。
それが面白くて僕は、くすり、と、笑った。

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111102

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