MK5!
風に靡く黒髪と、釣り上がった口端から覗く白い犬歯が眩しくて。
とても楽しそうに剣を振るうその横顔に、安堵したのを覚えてる。
「円閃牙!!」
「峻円華斬!!」
エアルを使った術技の流れるような連携攻撃に、押し寄せる魔物達も一瞬たじろいだように見える。
輝きを放つ武器魔導器よりも、飛び散る鮮血よりも、この戦場で1番光って見えるのはこの男、ユーリ・ローウェルだろう。
「ッはは、フレン!久しぶりだな、こうやって一緒に戦うのはっ!」
乱れた黒髪から覗く瞳は、余裕と、圧倒的な自信と。ユーリはいつもと変わらない笑顔で言い、片手で獲物を振り上げる。
決して軽くはないであろう大斧を軽々と振り回すその様は、純粋に、美しかった。
美しかった。
息ひとつ乱さず、躍るように魔物を仕留めていく漆黒が。
身体の芯が震えて、鼓動が高ぶり、何ともいえない恍惚感が身体を駆け巡る。
ユーリが、恋しくて恋しくて、愛しくてたまらない最愛が、窮地に追い詰められた僕の前に現れて、救世主さながら、剣を振るって。
隣に、ユーリがいる。
隣に、ユーリがいてくれる!
「ユーリ!」
走る足は止めずに、ただ前をいくユーリを見つめながら。
向かってくる魔物など、眼中にいれずに。
僕は叫んだ。
声を張り上げて、ちゃんと君の耳に届くように。
「×××××!!」
「ああ、俺もだよッ!!」
やっぱりきみじゃなきゃ!
僕にはきみじゃなきゃ!
華麗に舞う漆黒は、太陽みたいに眩しく笑っていた。
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090928 まじでこいするごびょうまえ。