ぜったいほうしき。
あいつははいつだって、ムカつく程に自己中心主義。
自分のしたいことをしたいようにしたい時にする。
付き合わされるこっちのことなんてこれっぽっちも考えちゃいない。自分のことしか、考えていない。
例えばほら、今だって。
連勤明け、久しぶりの休み。午後の一時をコーヒーをすすりながらゆったり過ごそうと思ってたってのに、何故か俺は寝室で犬かなんかみたいにベットの上で四つん這いにされている。
そう、されている、んだ。
間違っても俺の意志なんかじゃあない。
出来ることなら今すぐにでも止めさせて頂きたいんだけど、何を隠そう今の俺は結構ハードな状態にあるんだ。
「う、あッ、ニクスやめ…!」
柔らかかったシーツはとっくの昔に湿り気を帯びていて、揺さぶられる度に内股はがくがくと痙攣を繰り返す。
本来排泄機能を果たすためにある器官には同居人+バイトの同期+今1番殺したい奴であるニクスのアレが捩込まれていて、いっそのこと意識を手放した方が楽なのではないかと真剣に考えた。
(なんなんだよコイツは…!毎度毎度人を性処理に使いやがって…)
心のなかで悪態をつくものの、それは意味のないこと。
何だかんだと俺が抵抗したところで、結局自分はニクスの気まぐれに付き合うことになるのだから。
それは、何かしら物をねだられた時であれ、パシリに使われる時であれ、こんな風に一方的に行われる性処理行為だとしても、かわらないことだった。
そう。
ニクスの気まぐれに俺が付き合わされる、という、絶対的な方式が存在するかのように。
…と、ふいにニクスの動きが止まる。
まだ達していないというのに律動を止めたニクスの考えが読めなくて、ちらりと視線だけを奴の顔にむければ、ニクスはお得意の-…悪戯っぽい、でもなく。悪賢い、でもなく。言い当てるなら淫猥とか、そんな言葉の似合うあの笑いを浮かべて
「クク…お前も腰振ってみれば?」
いつもひんやりと冷たいニクスの掌が、俺の腰から肩をねちっこく撫でて。
触れられたそこから妙な感覚が沸々と沸き上がり、俺は身体を震わせた。
きっと、これも気まぐれ。
そして俺は、ニクスの思うがままに行動させられるのが"当たり前"
「ふっ…うう、…ん」
どうあがいたって結果は同じなんだ、さっさとイかせて開放してもらいたい。
半ば諦めにも似た感情を胸に、俺は痙攣を繰り返す脚を勇め、腰を揺する。
自分からこの行為を催促しているようで凄く気分が悪かったけれど、仕方がない。
結局俺はニクスの気まぐれに、付き合ってしまうのだから。
ひとしきり俺が動いてみせた後、満足したのか、ニクスはようやく律動を再開した。
自分で動くのと、揺さぶられてるので、身体も頭のなかも溶けてしまうような感覚を覚えたけれど、それが何なのか、何故そんなふうになるのか、俺にはわからなかった。知りたくもなかった。
「お前さァ、いい加減に認めろよ。お前は俺のことを−−−。」
ニクスが何か、言っている。
思考回路なんてあってないような状態の俺には理解できなかった。理解したくもなかった。
差し出すように突き出したそこに、何度もニクスの性器が打ち付けられるのを感じながら、俺はこの行為が早く終わってくれるのを祈った。
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090918 no title
(crow69の展示物でした。)