「リン?何してるの?」
「分かるでしょ!聞かないでよ!」


あたしのレンは世間で言う「ヘタレン」だと思う。
だってあたしたちは恋人同士なはずなのに、一度だってキスはしたことないし、手を繋いだこともない。昔あたしがレンに抱き着いたときはレンが真っ赤になって、すぐに体を離された。さすがに拒否されたと思ってショックだったのは内緒。

そんなレンが嫌なわけじゃない。私の頭を優しく撫でてくれるところとか、あたしのまとまらない話を聞いてくれるところとか優しいし好きなところがたくさんある。ずっと一緒にいたんだもん。

でも徐々に心にじわじわと蓄積していく不満は減ることがなくて。ついにあたしはレンを押し倒した。


「レンはあたしのこと好き?」
「す、好きだよ」
「じゃあ何で手出してくれないの!?」
「はっ?」
「あたしの胸が小さいから!?あたしにメイコ姉やルカちゃんみたいに色気ないから!?しょうがないじゃん!!大きくならないんだからあああ!!」

あたしの気迫に負けて呆然としたレンはびっくしとして話せないようだった。
ぼすぼすとレンの胸を叩く。


「リンはそんなふうに思ってたの?」
「そうよ」
「とりあえずそこどいて」
「やだ」
「…」
「レンがキスしてくれるならどいていいよ」

レンが出来ないのは分かってる。分かってるけどやっぱり悲しい。
まだまだ発展途上の14歳のあたしは胸なんてものない。膨らみを知らないかのようなぺったんこな胸。幼い顔。
メイコ姉やルカちゃんには程遠い。

「リンは馬鹿だね」
「馬鹿じゃないもん」

呆れたような声にあたしは泣きそうになった。キスやハグだけが愛情表現なわけじゃない。してくれなくても、レンがあたしを好きでいてくれることは分かる。でも、あたしはもっと先に進んでみたくて。

ぐい、と強い力で腕を引っ張られると同じに目に入ったのはレンの顔。そしてあたしの唇に当たった柔らかいもの。

「俺は今のリンが好きだからいいの」
「れ、れん…」
「メイコ姉やルカ姉より色気がないリンがいいの」
「…それはちょっと余計」

ははは、と笑ってレンはあたしの頭を撫でる。胸がきゅんとするってこういうことだ。レンは愛しくて仕方ないよ。

「レンはヘタレンじゃなかったんだね」
「ちげーよ…」
「だって何もしてくれないから…。あのね、キス嬉しかったよ」
「…リン可愛すぎ」

もう一回させて、と言ってレンはあたしに再びキスをした。



どうして今まで何にもしてくれなかったのと聞くと、「恥ずかしいからに決まってるじゃん」とレンが頬を染めながら言う。
恥ずかしがるあたり、やっぱり少しヘタレンなのかもしれない。














20110311


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