「どう?メイトさんとは何かあった?」
「何もないですよう…。やっぱり私じゃ駄目なのかな」

カイコは少しネガティブな面もあるけれど、しおらしくて守ってあげたくなるような女の子だ。青く澄んだ瞳は今にも涙が溢れてきそう。

「そんなことないよ。カイコちゃん可愛いから大丈夫だよ!」

そう言って励ませば「ミクちゃんありがとう」と言ってカイコは微笑んだ。
ああ、なんて可愛いんだろう!こんな可愛い女の子をほっとくなんて許せない。



「あっ」


小さい声をあげてカイコは一点を見つめていた。
その方向を追ってミクも目を向けると、目立つ赤い髪の長身の細身の男性-----メイトが歩いていた。


「メイトさん…」
「行っておいでよ」
「うん!ありがとう」

恋する女の子は可愛いとミクは思った。
メイトを見つけただけで頬を染める女の子はカイコくらいしかいない。
走り方も女の子らしくて、小走り。

しかしカイコの女の子らしさにうっとり出来るのここまでだった。

カイコが凄い勢いでメイトの背中に突っ込んで行ったのだ。いつも人の名前を呼ぶときは控え目に呼んでいたはずだ。だから「メイトさん」と控え目に名前を呼びかけるのだと思っていたミクは呆気にとられた。



「あっメイトさーん!!今日はどうしたんですか!?」
「痛っカイコか!びっくりするからいきなり現れんな!普通に現れてくれ…」
「だってメイトさんが居たからすぐ飛んで着たくて…。走って来ちゃいました」

高陽して赤くなった顔を両手で覆いながら、背の低いカイコは上目遣いでメイトを見つめる。

「はいはい…」
「あ、メイトさんはいつお休みですか?デートしましょう!」
「明日なら空いてるけど」
「じゃあ明日行きましょう?」
「…え、うん。いいけど」


カイコがこんなに積極的なのを初めて見た。大人しいカイコは今やどこにもいない。
それに、押されてるメイトも初めて見た。

「嬉しい!」と言ってカイコはメイトの腕に触れた。
強引に自分の腕とメイトの腕を組み、まるで胸を押し当てているような格好だった。

ミクはもう裂けんばかりに目を見張り、開いた口が塞がらなかった。彼女のその積極的なところはどこに隠されていたのかが不思議でならない。

その腕を「カイコ、邪魔だよ」と言いながらも、振りほどかないメイトも満更ではないらしい。



もうカイコにメイトの話を聞くのは止めようと決めたミクだった。







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メイト×カイコ+ミクのお話。



20110216


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