貴方がくれた僕の意味


「3人でどこか行くかい?」

唐突に鯉伴は山吹乙女と名前1に言った。山吹乙女と名前1は顔を見合わせ数回瞬きをした後笑顔で同時に頷いた。

「ええ!」
「うん!」
「ははっ。元気だねぇ。」

鯉伴は2人の大きな返事に微笑む。名前1と山吹乙女はそんな事はつゆ知らずどこに行こうかと2人で話し出す。

「山に行くのもいいよね。」
「そうねぇ。でも、海も捨て難いわ。私、海見たことないから。」
「そういえば、僕も。なんだかんだ言って見た事ないなぁ。」
「じゃあ、海に行こうか。」

鯉伴の言葉に名前1と山吹乙女は頬を赤くし、興奮しながら海で遊ぶことを相談し始めた。そんな二人の様子を鯉伴は微笑ましそうに見ていた。

****

「わぁ!凄いね、母さん!」
「そうねぇ。」

海辺で足を海水に浸らせ楽しんでいる名前1。その様子を鯉伴と山吹乙女は微笑ましそうに見ている。山吹乙女もそっと海水に足を入れる。その冷たさに軽く目を見開くと頬を赤くさせた。

「山にある川もみなここに繋がっているのね。生命の源は海だという事を聞いたことがあるけれど本当にそう思うわ。」
「そうだな。俺は死んだらここに来てぇな。」
「鯉伴様!そんな辛気臭いこと言わないで下さい!今は、とても綺麗な時間なんですから。なにもしがらみがない、美しい時。」

さらさらと山吹乙女の髪を風が攫う。その様子に鯉伴は山吹乙女に見とれる。

「母さん!父さん!凄いね。こんなに海って広いんだね。」
「ふふ。本当にね。それに、空の色を反射してるみたいに青い色。」

並び立ち笑う2人を鯉伴は抱きしめた。ぎゅうぎゅうと強く抱き締め薄く笑う。

「鯉伴様?」
「父さん?」
「2人とも、愛してる。これから先どんな事があってももう、絶対に離さなねぇ。だから、これからもっと笑おうな!」


鯉伴の笑顔はきらきらと輝く海にも負けないものだった。






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