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「水戸部ー、今日も部活?」


君は今日も笑う
だけど、俺にはその笑顔が憎くて憎くて堪らない

「水ー戸ー部ー?」

今日は部活があるので素直に頷く
だからもう着いてくるなという意思を目に込めて見つめるけど上手く伝わらない

「今日も部活かぁ…
そんな目で見つめるなよ俺だって水戸部と帰りたいんだから

んーそうだ!
俺も部活見学してい?」

必死に首を振るけど理解してくれない

「えー…じゃあ部活終わるまで待ってる」

じゃーねーっといいながら走っていく

俺が言うことは全く聞かない
聞いてくれない…

君は誰にでも笑顔を向ける
それはとてもとても良いことだけど本当は誰にもその顔を向けて欲しくない
俺の前だけで笑って欲しい


そんな事を言ったら君は困ったように笑うんだろう


「水戸部?部活行こーぜ」

小金井が前から走って来て俺の手を引く


「そういえばさ、さっきアイツが走っていったんだけどさなんか泣いてたんだよな
水戸部なんか知ってる?」

誰の事か分からないから首を傾けると小金井が驚いたように言った

「みょうじなまえだよ!
水戸部よく一緒にいるだろ?だから、なんか知ってると思った」

泣いてた?
嘘だろう…あのこが泣くなんて


俺は思わず走り出していた

あの子が行きそうな場所は?
図書室…職員室…体育館…

いつも一緒に居るくせにこんな時にどこに居るかも分からないなんて




「俺、空が好きなんだよね〜」


前にあの子が言っていた気がする

俺の足は自然と屋上に向かっていた




そっと屋上の扉を開けるとあの子が見えた
その事に胸を撫で下ろすけどまだまだ心配は消せない



ぐすっという泣き声が聞こえて俺は君に近づいていく


「はぁ〜…水戸部に嫌われたかなぁ?
一緒に帰ってくれないし…部活見に行っちゃダメって言われたし…
あ〜も〜ダメだ嫌われたら生きていけない…」



肩を叩くとビクッと体を揺らしてゆっくりと振りかえる

振り返った目は確かに涙に濡れていて…

「水、戸部…?
え?なんでこんなとこに居るの?」


君を探していたから、そんな顔をすると君は顔を真っ赤に染めた

「探してたって…なんで…
もう、部活始まってるよ?」

そんなの分かってる
だけど、君が泣いているって聞いたら探さない訳にはいかないから

「なんだよ、それぇ…
まるで、水戸部が俺の事を好きみたいじゃん
もう、いいよそんなことしなくても
俺が勝手に好きでいるからぁ」


泣きながら凄い発言をされた気がする
君が俺を好き…

なんだ、最初から両想いだったんじゃないか

好きだと伝えたい
だけど、君は―――なまえは顔を手で隠して泣いている

そっと手を退かすと今度は下を向く

最終手段で顎を持ち上げて顔を見させる

好きだと、表すのは簡単だけど行動で示したい
そう思ったら俺はなまえにキスをしていた

「ん…みみみ、水戸部ぇえ!?
何してんの…」

好きだよ
大好き

満面の笑みを浮かべたら元々赤かった顔がさらに赤くなった

「すすす、好きって…
だって、今まで素っ気なかった…
構ってくれなかったのに…


…………ああ、もう!
もう一回キスしてくれたら
今までの寂しかった気持ち忘れるから…」



キスで全部忘れるから


(俺は愛してるんだからな!!)
((可愛い…))





お題元:確かに恋だった



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