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この世界には人花と云われる生物が存在する
人花は姿形は人間の形をしている
言葉も話せるし、聞ける
歩けるし、走れる
生殖行動も出来る

だが、人花の髪は緑色をしており食事もしない
水を飲んで太陽に当たらなければ死んでしまう
二酸化炭素を吸い酸素を吐く
上にもいったとおり水を飲んで太陽に当たらなければ死んでしまうがちゃんと水を飲んで太陽に当たれば永遠に生き続ける


人にして人にあらず


それが人花―――俺たちだ

だから今、暗闇の中にいて水もここ一週間飲んでいない姉はもうすぐ死ぬだろう

「なまえ、お前、死ぬのか?
バカらしいのだよ」
「真ちゃん…煩いよ
もうなんでお姉ちゃんがこんなに弱ってるときにくるのかなぁ」
「家に死体が出来るのが嫌なだけなのだよ」

違う
本当は死んで欲しくない

「ごめんなさいね…でももう遅いわ
私、あと1日持つかどうかね

真ちゃん…お願い事してもいい?
大輝くんに"幸せでした、ありがとう"って伝えといて」

何故、自分が死ぬにまで至った原因に対してそんなに笑えるのか
感謝を言えるのか

「嫌なのだよ」
「お願いよ…"真太郎"」
「ッ…卑怯なのだよ」

姉は本当に頼んでいるとき俺の事をちゃんと名前で喚ぶ
それに俺は逆らえない

「ごめんねごめんね…ありがとう真ちゃん

あぁ…人花って死ぬと巨大な花になるんだって
ほら、もう脚が蔦みたい
真ちゃん、私の死に姿絶対に大輝くんに見せないでね

サヨウナラ真太郎

貴方はさいっこうの弟だったわ!」



泣きながら姉さんは花になり死んだ――――

朝にはニュースになるだろう

人花で死んだのはこれで二人目なんだから


部屋からはヒマワリの匂いがした





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