#7 日記ってどんな口調で書けばいいか悩む
○月◇日
いよいよ本日から、真選組での生活が始まった。ここまで手配をしてくれたおじさまには、感謝してもしきれない。
そして、父上の反対を押しきったからには、何としてでも目的を果たさなければならない。
何よりも、父上のために。
今日は初日と言うこともあり、少し羽目を外してしまった。
私に対して、遠慮なしに剣を振るってくれる人間はそういない。だから少し…楽しかった。
けれど一番隊の隊長であり、先輩である彼に対し、ムキになってしまったのは無礼だったかと後悔した。
でもやはり、負けるのは好きじゃない。
私生活に関しては、副長に興味深いことを教わった。
自分の好きな味を、自分で作り出すと言うこと。
人が作ったものに自分で手を加えるなど、今まで考えたこともなかった。これからはキャビアを持ち歩こうと思う。
良い勉強になった。
でもやはり、煙たいのは好きじゃない。
〔本日の評価〕
近藤 勲
強さ:不明
優しさ:★★★☆☆
包容力:★★★★☆
ゴリラ:★★★★★
土方 十四郎
強さ:不明
味覚:☆☆☆☆☆
顔 :★★★★☆
煙 :★★★★★
沖田 総悟
強さ:★★★☆☆
礼儀:☆☆☆☆☆
顔 :★★★★☆
股間:☆☆☆☆☆
〔反省点・改善点〕
まだまだ初日。彼らの本質はまだ分からない。
きっともっと良い所があるはずである。
なきゃおかしい。なかったら人間としておかしい。
初対面の評価を引きずらず、しっかりと婿候補として向き合っていこうと思う。
カチッ
「七星の日記」と書かれたページを保存し、パタリとノートパソコンを閉じる。
日記を書くのは昔からの習慣であるが、今後は婿探しの参考のためにも、評価を記していこうと思った。
今までほとんどうわべでしか人付き合いをしたことがない私にとって、結婚というのはかなりハードルの高いことだ。
もちろん父上に勧められて数回見合いをしたことはある。
だけど、どの人も、私のことは見ていない。
彼らが見ているのは父上だ。
父上の地位、権力、財力。彼らが誉めるのはそればかりだった。
稀にセレブの間で開かれるパーティーに出席しても同じ事。
皆、ゴマをするように父を誉める。
そんな人たちと、まともな人間関係を築けるとは思えない。
私を、"あの人の娘"としてではなく、私として見てくれる人は少ない。
おじさまに「婿を探したい」と相談して、真っ先にこの野蛮な組織を紹介してきたのは、きっと私がずっとそう感じてきたことに気付いていたからだと思う。
ここの人達は、きっと私が"今まで付き合ってきた人間"とは違うんだろう。
たった一日、過ごしただけで分かる。
"ちゃん付け"で呼ぶのも、私の要求をきっぱり断るのも、怒鳴るようにツっこんでくるのも、容赦なく喧嘩してくれるのも、今まで…出来なかったことだ。
ここは、セレブ界とは違う。
それだけで、ココを好きになってしまいそうな気がした。
婿を見付けたら、またあそこに帰るのに。
早く父上の元に帰らなきゃいけないのに。
私を守れる強い人。
それならきっと認めてくれる。
私ももっと強くなる。
それならきっと側にいさせてくれる。
…父上、今日も星が綺麗に見えます。
あなたも私が見えますか?