『はぁぁぁぁ………チッ』 タラシ王子の花屋を後にして、アタシの溜め息はより深く、そして舌打ちまでオマケに付くようになっていた。 (なんで王子なのにタラシかな〜、まぁモテるんだからそれは仕方ないにしても、化石はないよなぁ〜………) 『なんつーか、惜しいよなぁ…』 神様ってやっぱパーフェクトな人間を創らないんですねー。なんて信仰心の欠片もないくせに思いながら再びプラプラと歩く。と、ケーキ屋を発見した。どのみちもうココに住む事は確定なんだし、大家に手土産でも買ってこ……(ママにも煩く言われたし) 『……へぇ』 入ってみると結構可愛い内装でショーケースのケーキもどれも美味しそうだ。でも、店員がいないんですけどー……。仕方なく声を掛けると店の奥から話し声がした。え?喧嘩してる?え?水戸黄門?! 「いらっしゃいませ」 『!!!!』 ………んなッ!!なッ!! なんつーイケメン!!!! しかもモロ好み!! 「で?」 『は?』 突然目の前に現れた好みドストライクのイケメンは、ジーッと見つめたまま固まっていたアタシに不機嫌そうに声をかけてきて… (あれ?え?あれ?今………舌打ちされたよーな?) 「用がないならよぶなよ」 『え…………』 ぇぇぇええええ?! 何?!空耳?!空耳アワー的な?!いや聞こえたし!ハッキリ聞こえたし!何その態度! 『いや買いますが』 「ふーん、で?」 『(ムカッ!)えっとー、イチゴのショートケーキとミルフィーユと』 (何コイツ?!それが店員の態度?!) 『あとモンブランとガトーショコラとー』 (イケメンだからって調子乗ってんじゃねーよ!) 「お前!そんなに一人で食う気なのかよ!」 カッチーン! 『あんたバカじゃない?食べるわけないじゃん』 「ぁあ?!」 『で、いくら?』 「……1260円」 『はい、丁度』 (ホント!神様ってパーフェクトな人間を創らないんですねー!!!!ふざけんな!!) あまりにムカついて商品を受け取って即店を出ようと背を向けたら低く不機嫌な声がした 「チッ、可愛くねー女」 『はあ?!ちょっ、なんなのアンタ!』 「なんだよちょっとからかっただけだろ!」 な、な、な!!何でアタシがキレられなきゃなんないのよ!!!! 「ったく、ちっせぇ女」 『ちょっと!!』 「……んだよ」 『バイトかなんか知らないけど!客に対して何その態度!マジありえないんだけど!クビになっちまえバーカ!』 「んなッ!!!」 ギャーギャーと文句を言う声が背中に聞こえたけどフルシカト。マジありえない。あんな性格悪いと流石にイケメンとか関係ないわ。マジないわ。てかホント、 この街がない |