可愛いダーリン


ぽかぽか陽気のある日曜日










ガチャッ!!


「名前!!」


『ッ!!キャー!!!』











アタシの長閑な休日はこうして打ち破られた。











(最近太ったかも……)
夏にすんなりはけていたデニムが何だかピチピチしてて、そんな事を思った。思えば大我さんが役目に出る度にちょこちょこお土産と言って買って来てくれるお菓子を何も考えずに食べてたし……
恐る恐る体重計に乗るとやっぱり増えていて、でも服の重さだってあるし!と、下着姿で再度計測していた所だった。


『バカ!エッチ!見ないで!!』
「うぉッ!ちょっ!おいッ!」


(何でノックもしないのよ!!)
アタシは大我さん目掛けて手当たり次第にそこら中の物を投げまくった


『もうッ!最低!』
「痛ッ!テメェ名前!!『いいから出てって!!!』
















『ホント最悪!デリカシーない!てゆーかもうホント嫌ッ!』


太我を部屋から追い出した後、素早く服を気直した名前がブツブツと文句を言いながら体重計を戻そうと洗面所へ歩いていると


「ブツブツ何1人で喋ってんだよ」
『あ……』


大我がヒョイと居間から顔を出した


『…てゆーか、何か言うことないわけ?』
「あ?あぁ、いくらなんでも時計はねーだろ!ったく、めちゃくちゃ痛かったぜ」
『はあ?!もうッ!自業自得よ!』


謝罪を求めたつもりが、逆に文句を言いわれる始末。名前は怒って洗面所へと入って行った。














「おい」
『………』
「テメッ!シカトすんなよ!」
『………』


洗面所から出るとまた大我と鉢合わせになる。話しかける大我を無視して部屋へ向うと追うように後についてきたものだから名前は無視を続けて家中をグルグルと歩き回った。


そして、気付く


『てゆーか、皆は?』


家中を歩き回っていたにも関わらず家の誰とも出会わなかったし、声すらしない。


「だから、いねーよ」
『……だからって何よ』
「だから!俺はそれを言おうと思ってお前んとこ行ったんだ!」
『ノックもしないでね』
「!…だ、だってよ!」
『何よ』
「だあー!チキショー!」


未だご機嫌斜めな名前に大我は頭をぐしゃぐしゃと掻いて言った


「悪かったよ!いきなり入っちまって!なんつーか、久々に名前と二人っきりになれたと思ってつい、舞い上がっちまってよ……」


最初の勢いは何処へやら、どんどんとボリュームが下がり最後の方など聞こえない程小さな声でボソボソと、しかも目線も反らして顔も真っ赤。


『………プッ!』


名前はそんな大我の姿に怒りなどどうでもよくなって笑った


「ぁあ?!何笑ってやがんだテメェ!」
『だって!大我さん、可愛い!』
「う、うううるせぇ!」


更に真っ赤になった大我はいきなり名前の腕を引き寄せて抱き締めた






「お前は、嬉しくねーのかよ…」
『……嬉しいよ』


胸の中でポツリと呟くと、嬉しそうな笑い声とともにキスが降りてきた














「つーか…………してぇ…」
『は?!な、何を?!』
「お前が今考えた事」ニヤリ
『なっ、何言って!』
「しょうがねーだろ!さっきの見たらッ!もう我慢できねー!」
『ちょっ!待ってぇぇぇぇ!』


2010.10.22


←back