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―上空に地上絵が浮かび上がり、戦いの火蓋を切る。
すぐに巻き込まれるわけにはいかないので、私はエンジン音の聞こえた方に、走っていく。
そこにはクロウ、双子、牛尾がいた。
「・・・クロウ、あんたも来たのね」
「、!・・満姉ちゃん!」
「お姉さんがどうしてここに・・?」
「アンタ一人で来たのか?!」
双子も牛尾も心底驚いた様子だ。
クロウ以外は何故私がここにいるかはわからないだろう。
乙女の秘密よ。
「・・・見届けに、ね・・・」
鬼柳とは、私も知り合いだから、と眉尻を下げて茶を濁した。
(遊星・・・お願い・・・)
クロウのDホイールのモニターを祈るように見つめた。
京介の憎悪は、怨みはとてもとても深い。
そしてついに地縛神が召喚されてしまう。
―そしてその時はやってきた。
遊星が召喚した光り輝くドラゴンが地縛神を貫いたのだ。
黒い霧に巻かれ、京介の乗ったDホイールがクラッシュした。
そして京介が黒い霞となって、遊星の腕の中で消える。
私はフェンスにもたれかかりその場に崩れ落ちた。
隣にいたクロウが一緒になってしゃがんで、背中をさすってくれる。
「ぅ、京介、京介、京介ぇ・・・」
「姉ちゃん・・・よく最後まで耐えたな・・・」
(京介、私ちゃんと見届けたよ、最後まで見届けたよ・・・)
これであの人の魂は、想いは、願いは、昇華されたんだろうか。
さよなら、私の好きな人。
決闘も終わり、私はハウスに帰ることした。
遊星は親玉を倒すために旧モーメントへ行くという。
「遊星、クロウ、みんな、いってらっしゃい」
みんなを見送り私は、ふらふらと歩いて、気付けばハウスにたどり着いていた。
玄関をドアに手をかけたら、遅れてやってきた涙を止めることが出来なくて、私はたまらず泣いた。
私は、ここで、弟たちの帰りを待とう。