ホーリーロードが無事に終了してから三ヶ月とちょっと経った今。
中学サッカー界に革命を起こした私の学校のサッカー部は、サッカー禁止令など意味が分からないルールからサッカーを守るべく戦っているんだ、ということをマネージャーで友達である葵ちゃんから聞いていた。



そんなある日のことだった。
練習を頑張っているであろうサッカー部に差し入れを届けようとサッカー棟へ行く途中だった。この学校では見慣れない姿がサッカー棟へ入っていくのを見た。
白く逆立った髪に束ねられた淡い水色の髪。あんな髪型の人はどこを探してもあいつぐらいしかいないだろう……。
彼はきっと、幼なじみである白竜だ。
白竜とは小6のある日、彼が突然どこかへ行ったっきり音信不通の状態が続いていた。
白竜とたくさん話したいこととかあったけど、一年以上という時間の壁が私からサッカー棟へ向かう勇気を奪ってしまった。せっかく差し入れのケーキも焼いたけど、人数分きっちりしか持ってきてないから白竜の分はない。今届けに行った所で白竜の分だけないのは可愛そうだということを理由に私はサッカー棟へ行くのを止めた。……本当は、白竜に忘れられていそうで怖かったのだ。



あれから私は何度も白竜に会おうとしたけど、“忘れられているかもしれない”と思うと、どうしても会いに行けなかった。
今日も会いに行こうか悩みつつ教室の扉を開けた。
すると、私の机の上に綺麗なスミレの小さな花束が置いてあった。いったい誰がこんなものを……と思いながら近づいてよく見ると、花束の下に小さな紙切れが置いてあった。
その紙切れには懐かしい字で『ただいま、名前』と、たったそれだけ書いてあった。
名前なんてどこにも書かれてないけど、これを書いたのは白竜だろうと率直に思った。白竜、覚えててくれたんだ。忘れられていなかったことが本当に嬉しい。不器用な彼のことだから、彼も私とどう直接会えばいいのかわからなかったのかもしれない……。
隣に座っていた葵ちゃんが「(白竜さん、)ずっと寂しそうにしてたから早めに会いにいってあげてね。」と言った。
朝のHRが始まるまでまだ少し時間はある。「会いに行ってくるね。」と言って私は教室を出た。
久々に会ったらなんて言おうか……。とりあえず、先ずは「おかえり」って言ってあげたい。


ブーケに潜む君の想い
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