※HR決勝戦後のお話。
ヒロインと一乃は幼なじみ設定



「優勝おめでとう。いっ君」

そう言って いつもと変わらない優しい笑顔を浮かべたのはオレの幼なじみ。

「ありがとう。名前。」

「凄かったね。いっ君。最後まで諦めなかったんだ」

「…もう逃げたくなかったからな」

黒の騎士団が来たあの日

オレは圧倒的な力にねじ伏せられた事で諦め、一度はサッカーから離れた。
でも 心の奥では諦められなくて退部してからもサッカーボールは捨てられなくて。
そんな風に葛藤していた日も。

セカンドのキャプテンを任せられた日も
どんな時も名前がいてくれた。

「いっ君は逃げてなんかないよ」

「えっ…」

「いっ君は逃げてなんかなかったよ。私 知ってる。セカンドを止めてからもボールを捨てなかったのも、何もかも、サッカーが本当は大好きだからでしょ?いっ君は一度だって逃げてないよ。いつでも向き合ってたよ。サッカーに」

名前の水色の髪が風で揺れた。

ううん。違うんだよ。名前。
オレが逃げてたのは サッカーからじゃないんだ。

ずっとごまかしてた君への気持ちだ。

「いっ君?」

「…名前。ずっと言いたい事があったんだ。」

「何?」

「………ずっとごまかしてた。でも 名前に言われて改めて分かった。自分の気持ちからもう逃げない。」

「名前が好きだ」

「え…っ」

「返事は今すぐじゃなくていいから。」

オレがそう言って笑うと名前は目を白黒させながら、きゅっとオレの右手を握ってきた。

「…?」

「へ 返事はまだ出来ないけどっ。い いっ君の事 好きになれるように頑張るからね!!」

「…無理しなくっていいのに」

「無理じゃないもん!!いっ君の傍にいたいから!!」

一歩一歩でいい。ゆっくりでもいいから君と共に歩こう。
今日も明日も君の隣にオレがいて。オレの隣に君がいますように。


(今 縮まった距離がが僕らの一歩に)


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