虫歯になった!




【高杉】

「しんすけ、」
「あァ?」
「私虫歯かもしれない」
「そーか、歯医者行け」
「行きたくない。どうしよ」
「どうするも何も歯医者行く以外に手無いだろ」
「晋助とキスすると治るとかないの?」
「試すか?」
「ううん、遠慮しとく。なんか違う病気にかかりそう」
「……」
「私死ぬのかな」
「死なねーだろ、虫歯ぐれェで」
「死なないって言い切れる?もしかしたら痛みでショック死するかもしれないよ?」
「知らねーよ」
「それで死んだら私晋助のこと呪いにいくからね」
「来るなよ、欝陶しい」
「違うでしょ!そこ怖がるとこでしょ!」
「怖くねぇだろ。そもそも幽霊とか信じてねェ」
「とか言って怖いから否定してるだけなんじゃないのー」
「見たことねェもんは信じねェ」
「ふーん、でも晋助に憑いてるよね。ほら後ろ」
「…!」
「わあ、さすが高杉くん!素晴らしい身のこなし!」
「……」
「ジョーク!ジョークだよ晋助!」
「虫歯、どこだ」
「えっ?えっと…右の奥から2番目」
「俺が抜いてやる」
「遠慮しますぅううう!」

――――――――


【坂田】

「もう終わりね。別れよう、私達」
「は?」
「きっと相性が悪かったのよ」
「え、何?全然話見えないんだけど」
「ぐーたらで全然仕事来なくて糖尿寸前でジャンプ卒業できないマダオだけど、銀ちゃんのことちょっとは好きだった」
「ちょっと?俺のことちょっとしか好きじゃないの?」
「さようなら」
「待った待った待った!」
「何よ、もう銀ちゃんと話すことなんてないわ」
「よぉし、とにかく座れ。落ち着け」
「……」
「なんだよ、何があったんだよ。銀さんなんかしたか?」
「私、銀ちゃんと一緒にいられない…」
「もうそのわざとらしい芝居はいいから」
「いやあ、しばらくここ来るのやめようと思って」
「なんで。別に客来たって邪魔じゃねーぞ」
「そうじゃなくてね、」
「?」
「私銀ちゃんと一緒にいると駄目になっちゃうもん、歯が」
「歯?」
「私、虫歯になったの」
「私妊娠したの、みたいな言い方だな」
「虫歯だって大問題よ。銀ちゃんといると絶対甘いもの食べちゃうから虫歯治るまでさよなら…うう!」
「泣き真似もいいから!ていうかなまえに会えないの俺が困るんだけど」
「そんなの知らない」
「え、即答?俺今ちょっとグっとくること言ったと思うよ」
「もういいよ、めんどくさい」
「なまえちゃん待ちなさい、話終わってないでしょうが」
「私4時から歯医者だから。じゃあねー」
「ちょ、待てって」
「冗談」
「え?」
「だってどうせ何言ったって銀ちゃん会いにくるじゃん?」
「なまえちゃんんん!」
「うわっ!これから歯医者だってば!重い!」
「あー、どうしよ」
「なに」
「なんかムラムラしてきた」
「は?何言ってんの、歯医者だって」
「行かなくてよくね?」
「よくない!やっぱり治るまで会うのやめる!」
「逃げられたらな」
「いやああああ!」


――――――――

【雲雀】

「んんー」
「……」
「うんんん」
「ねえ、」
「んぐぐ」
「なまえ」
「はい?」
「さっきから、煩いんだけど。何してるわけ?」
「咬み殺してます」
「は?」
「歯が痛いんです」
「咬むっていうか歯食いしばってるだけでしょ。歯医者行きなよ」
「嫌です。痛いの嫌いです」
「何、歯医者怖いの」
「怖くないですよ!」
「じゃあ行きなよ」
「このくらい平気です」
「はぁ…口開けて」
「あーあーあー」
「声要らない。……ああ、ここか」
「ああああああああ!」
「早く歯医者に行った方がいいね」
「いいね…じゃないですよ!何すんですか!なんでそんな躊躇わずに虫歯押すんですか!」
「煩いなあ。歯医者より痛くされたくなかったら早く行きなよ」
「……いってきます」
「いってらっしゃい」


――――――――

【沖田】

「オイなまえ、見回り行くぞ」
「は?いきなり何ですか。私今日非番なんですけど…」
「どうでもいいから早く支度しろィ」
「無理ですよ。午後から予定が…」
「何の」
「え、えーと…(言えない。歯医者行くなんて絶対いたずらのネタにされる…!)」
「3秒以内な。はい、さーん、」
「えええ!?」
「にーい、」
「ストップです隊長!」
「なんでィ。俺に言えねーようなことなのか?」
「言えないっていうか、言いたくないっていうか…」
「生意気な口きくようになったじゃねーかィ」
「(目の色変わった…!)歯医者!歯医者に行くだけ!」
「ふーん。じゃあおまじないでもやってやろうかィ」
「は?おまじない?」
「目閉じろ」
「へ?…ってか顔が近いです!」
「黙りなせェ、ほら」
「(唇になんか温かいものが…!)」
「口、開けろィ」
「ん、」
「……」
「(口の中に冷たいものが入り込んでくる。…冷たいもの?)…って痛いィイイイイイ!」

カシャ

「よーし、こればらまいてやろー」
「なにこの冷たいの!」
「氷でさァ」
「死っねェエエエ!」
「おや、そんなこと言っていいんですかィ?この写メ隊士全員に送れるんですぜ?」
「…それだけはまじで勘弁してください」




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