罰ゲームに感謝状を




「これはどういうことだ?」

瞳孔が開いた目でこちらを見ているのは鬼の副長として恐れられる土方さん。私の好きな人。
なんでその土方さんのお部屋で二人っきりになっているかというと、元々は沖田さんの所為。沖田さんを含む隊士達の一部はお正月によく麻雀をやっています。
警察として駄目だとは何度も思ったが、お正月で羽振りのよくなっているのを理由に賭け麻雀をしているのです。私は麻雀が出来ないから参加しないけど、やるという時は呼んでもらってその様子をよく見ていました。出来ないなら仕方がないのだけど少しだけ皆の輪に加われないことが淋しかったのです。
そんな私を見兼ねてなのか麻雀に飽きたのか今年は沖田さんが大貧民をやろうと誘ってきました。いつも腹黒い沖田さんでも優しい所があったんだ、と感動しつつ快く誘いを受けたのが間違いだったのです…。あの腹黒のドSがただでゲームをするはずがないのです。それはもう数え切れない程の反則を重ねられ、私が仕返しにと同じことをやると私の財布から勝手に野口さんが消えていくという恐ろしいゲームに……。他にも隊士は何人もいたというのに沖田さんは私を集中攻撃。そんなゲームに勝てるわけがなく、私は完敗…。よって、大富豪となった沖田さんから罰ゲームを受けなければいけなくなったわけです。その罰ゲームというのが、「好きな人にアタックする」ひそかに想いを寄せていただけのはずなのに何故か沖田さんは私の好きな人を知っていて……好きな人へのアタックというものを沖田さんに監視されつつ行うことになったのです。

でもアタックなんてよくわからなくて、どうしようかと丸一週間悩み続けていたら沖田さんに殺気を向けられ、仕方なくその場で思い付いたものを実行したら今度は土方さんに呆れと怒りの混じった目を向けられてしまいました。
それで、今に至ります。

「えっとですね、えーっと……」

わけを話せる程の勇気を残念ながら持ち合わせていないので、先程から私は吃るばかり。そんな私を見て土方さんは溜息を吐く。溜息を吐く姿も格好いい…とか考えている場合ではない。本当にどうしていいのかわからない……土方さんが背を向けている襖の間から沖田さんが顔を覗かせて口パクで「告れ」と言っている。私はもう俯くしかない。

「みょうじ、これは何だ?」
「い、犬耳です」
「なんでこれを俺に付けた?」
「えっと………ば、罰ゲームで…」
「罰ゲームだァ?」
「は、はい。すみませんでした」
「これがどんな罰ゲームなんだよ」

なんかもう逃げられそうにない、そう察した私は思い切って口を開いた。

「す、好きな人にアタックするっていう罰ゲームです…」
「は?」

驚きの表情でこちらを見る土方さん。どうしていいかわからないので私も土方さんを見る。心なしか顔が赤いように見えるのは気のせいだろうか。暫く沈黙。さっきまで覗いていた沖田さんはいつの間にか居なくなっている。


「それは俺が好きってことか?」
「えと……はい…」
「…じゃあ、付き合うか」
「え!いいんですか!?」
「あァ」

そう言って土方さんは私の頭をくしゃくしゃに撫でた。



罰ゲームに感謝状を



今日の夕飯は沖田さんの好きな物を作ってあげよう。



(ところでなんで犬耳なんだ?)
(雑誌とかの気になるページの端を折ることドッグイヤーっていうじゃないですか、)
(あぁ)
(それで土方さんは気になる人だから気になる繋がりで犬耳を…)
(随分と分かりにくいな、オイ)






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