見ちゃいけません
※子どもがいます
「あのさー、パパ、好き?」
「すき!」
「怖くないの?」
だってあんな今にも光りそうな鋭い目をしてて(しかも片目)あんなに声にどすをきかせて話すし。わかりやすい優しさなんか絶対に見せないのに怖くないなんてことあるのか…
「何失礼なこと聞いてやがる」
「あれっ?い、いつから?」
「こいつに俺が好きか聞いたとこから」
「最初っからじゃん!」
「何か悪いのかァ?」
「い、いえいえ!とんでもありません晋助様」
それはもう目に見える亭主関白である。ククッと晋助は私を馬鹿にしたように笑った。そのちょっとした笑みが素敵で少し見とれていたら晋助と目が合ってまた笑われる。
「で、怖くないの?」
小声で聞いてみる
「こわいけどときどき、ぱぱ、すっごおくやさしいお顔するもん」
小声で話すのが楽しいのか、楽しそうに小声で返してくる。当のパパはいつの間にか少し離れた窓辺に座って煙管を吹かしている。
「や、優しい?」
「うん!ぱぱね、ままにちゅーするとき、すっごおく優しいお顔するよ!」
「えええ!」
見てたのか…
ママ気付かなかったよオオオォォオオ!!
「ほォ」
またいつの間にいたのか隣に晋助がいた。やけに楽しそうにしている。
(何故そんなに楽しそうに…ていうか危ない笑みだぞコレ!)
「ね!まま?」
「えっ!?あーえっとー…まま、覚えてないなー」
一生懸命とぼけた顔で言い訳をする
晋助がキスする時の顔なんてわかるわけがない
だって目なんか開けてられるほど余裕なキスなんかしてくれやしないもの
「ほォ?あんなに何回もしてやってんのに覚えてねぇのかァ?」
「覚えてないといいますか、見たことがないといいますか…」
「ほォ…」
(やばい…どんどん楽しそうな顔になっていく…)
「じゃあ見せてやるよ。今度はちゃんと見てろよ?」
「え?ちょ、子どもの前で!」
私の言葉など知ったことかと言わんばかりに晋助は私の顎をしっかり掴んで顔を近付けてくる。私もなんとか手を動かして抵抗を試みるが無駄に終わってしまう。
「どうせもう見られてたんだからいいだろ?」
「〜っ!」
言葉を言い返す時間もなくあっさり私の唇は奪われてしまった。
見ちゃいけません