明日はテスト!


私は今、頭を使っている。
私の脳みそフルに使っている。
なのに、なのに

「なんでわからないのよォオオオオオ!」

ああっ!もうわけわかんないのよ!何これ。どうやったらいいとかじゃなくて何を答えとして出すのかがまずわからない!

あ、すみませんね。一人で突っ走っちゃって。説明しますとね、私は今高校生なわけです。それで来たる定期テストに向けて数学の問題に取り組んでいるのです。っていうかぶっちゃけ明日テストです。そもそもなんで文系の私が数学の問題なんぞに付き合わなきゃならないのかも甚だ疑問。

だって文系だもの

いいじゃない。もうちょっとしたら触れることもなくなるのよ。数学何それおいしいの?を先生に言ったって怒られなくなるのよ。その時期をちょっと早めるくらい、神様だって許してくださるわ(多分)

……ってあれ?もしかして問題の意味がわからない時点で文系とか以前にお勉強出来ない人だったりする…?なんか目安時間20分ってなってる。私かれこれ1時間近く悩み続けてたのに…あっ、これはもしかしなくても自分が悪いやつじゃん。ていうかこんだけ時間かけてわかんないなら無駄だよね、きっと。大丈夫、こういう時に頼りになる人がいるから!(本当に頼らせてくれるかは運次第だけど)



そういうわけで私は携帯を取り出してアドレス帳から頼りになるあの人の名前を捜し当て何の迷いもなく発信ボタンを押す。少しの沈黙の鳴り出す発信音。
しばらくすると待ち望んでいた声が聞こえてくる。


『…何だ』

「あ、晋助?あのさ、これから晋助の家行っていい?」

『は?』

「数学がね、わかんないから教えてほしいの」

『…じゃあ来いよ』

「うん!すぐ行く!じゃあね!」


ため息混じりの返事だったけど気にしない。私は電源ボタンを押して電話を切ると、広げた教科書達を片付け始める。

(なんか久々に電話なんかしたら耳がこそばゆい…)

耳を触りつつ私は家を出た


……そうして晋助に教わってるわけなんですが、


「うん、何を出すのかはわかったわ。でも何でxもyも一瞬で出るわけ?」

「は?お前そこは中学生レベルだろ」

「え、まじで?」

「もしかしてそこから教えなきゃなんねェのか…?」

「うん」


あ、どうしよう。盛大にため息つかれた。


「大丈夫だよ、晋助。まだ16時だから沢山時間はあるよ!」

「…お前覚悟しとけよ」

「今度パフェ奢ってあげるよ、パフェ」

「それてめーが食いたいだけだろ」

「あらバレた」

「ったく、さっさとやるぞ」

「はーい」


素直に返事をして説明を始める晋助の声に意識を集中させた。


****


「凄い晋助!テスト範囲全部終わった!」

「お前出来ねー割に飲み込み早いな」

「へっへーん。それはね、小学校の時から言われてるのよ」

「ほォ。まあ早いって言ってももう9時だけどなァ」

「あ、本当だ。ごめんね、こんな時間まで」

「別に構わねーよ」

「じゃあ私そろそろ帰るね……って何?」

「まさかタダで帰ろうなんて思ってねーよな?」

「いやいやいや、ほらもう夜だし!お母さん心配するし!」

「お前の母親は大丈夫だろ?寧ろ後押ししてたじゃねーか」

「ああっ!そうだった!」

「まあそういうことだ、大人しく流されろ」



明日はテスト!



(今日せっかく教わったこと忘れないかな…)




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