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「航、なんか歩き方変じゃね?」

「……え、…や…別に。」


なんと俺、昨日るいと初めてえっちをしちゃいまして、翌日お尻がなんだかちょっぴり落ち着かないのだ。

若干がに股気味で歩く俺に目敏く目を向けてきたのはモリゾーで、俺は少々返答に困っていると、モリゾーは俺の首に腕を回してきた。


「もしかして矢田くんにアナル弄られちゃった系とかぁ?」


モリゾーは楽しそうに俺をからかうように言ってくるから、俺はやっぱり返答に困り「……ん、あ、えっと…、」と口をもごもごさせていると、移動教室から2年の教室フロアまで戻ってきていた俺とモリゾーの前からるいと仁が歩いてきたから、それに気付いたモリゾーが俺の首から腕を離した。


「あ〜友岡くーん、昨日なんかまた激しいことやっちゃってただろー。るいに聞いてもなんも話してくんないから面白くないんだけどー。」


よりにもよってクソエロ野郎モリゾーがいる前で俺に話しかけてきた仁に、俺は最悪だ、とそのタイミングを恨む。

その仁の話を聞いたモリゾーは、あからさまに「おぉ?」という顔をして興味を示していたから、俺はやはり返答に困り、「あー…、えっと…。」と口をもごつかせる。


返答に困っていたところで、るいが一歩モリゾーに近付き、近距離でモリゾーの顔面をジー、と見つめたるいは、「モリゾーさぁ」とモリゾーににっこりと笑って話しかけた。


るいに近距離でにっこりと笑いかけられたモリゾーは、顔を赤く染めながら「はいっ」と頷くが、それも束の間、モリゾーはグイッとるいに胸倉を掴まれ、そのままモリゾーの首にるいの腕が周り、モリゾーはるいに絞めつけられていた。


「えぇ!?アタタタタタ!!ちょっ!矢田くん!?」


いきなりのことにかなり焦っているモリゾーに、るいは告げる。


「お前航に変なエロ話すんのやめてもらっていい?」


モリゾーにヘッドロックをかけながら話しかけるるいに、モリゾーはちゃんと話を聞けているのか少々微妙で、「アタタタタタ!」と痛がっている。


うわあ、まるで昔の自分を見てるみたい。…とモリゾーの姿を自分と重ねて見ていると、るいの腕はモリゾーから離れ、側で見ていた俺に視線を向けてきた。


「…大丈夫?」


ちょっと心配そうに、そして優しげにそんな声をかけてきたるいに、俺は恥ずかしくなりながら「…うん。」と頷く。


そんな俺とるいのやり取りを側で見た仁が、口を開いた。


「…なにお前ら…。そんな事後のようなピンクいオーラ出しちゃって…。」


仁の言葉にるいは何も言う気がないのか、ふん、とそっぽ向いたが、俺は仁に言われた内容に他人から見たらそう見えんのか……ということを考えてしまって、ボッと頭が熱くなった。

するとそんな俺を見たモリゾーが、るいに絞められて床に座ってぜえはあしてたと思いきや、「あっ!!!」と声を上げる。


「お前らひょっとしてヤったとか!?」


そう声を上げたモリゾーに、再びにっこりと笑ったるいがモリゾーの胸倉に手を伸ばした。


「ギャアアアァァ!!!!!」


モリゾーの悲鳴が聞こえる中、仁が俺にこっそり近付き、「えぇ?まさかヤってはないよねぇ。」と笑いながら話しかけてくる。

それはいつも必ず『ヤっただろ!?』という問いかけに対し、俺が盛大に『ヤってません!!』という返答をしていたから、仁はきっと今回もそうだろう、と思っての問いかけだろうが、今回はその逆なのだ。


実は昨日、やっちゃったんです。


思い出すだけで顔が熱くなる。

るいのものが中に入ってきて、グッと奥を突かれ、俺は頭が痺れるような感覚を味わった。

普段のクールなるいからは想像もできないほど、色っぽい声を出しながら息を吐き、俺に向かって激しく腰を打ち付けてくる。


最初のゆるやかさとは打って変わり、徐々にピストンする速度を上げたるいは、次第に余裕が無くなっていったように目をうっすらと開けて、声を漏らしながら呼吸する。


るいのそんな姿は、絶対に俺しか見たことない姿だ、と思ったら嬉しくなって、俺との行為に余裕を無くして最高潮を迎えるるいに、俺はひどく優越感を味わったのだった。



「おーい、友岡くん?聞いてる?」

「……はっ、ごめんなに?」

「いや、ヤってはないよね?って。」

「あー……いや、…ヤった。」

「え?」

「……ヤりました。」

「えぇっ!?!?」


俺の返答が予想外すぎたのか、仁は目を丸くして俺のことをまじまじと見つめた。


「まじで!?!?」

「……まじ。」


驚く仁に、俺はじわじわと顔が熱くなっていく。持っていた教科書で顔面を隠すが、そんな俺の行動を見た仁がまた、「まじか…」と驚きの声を上げている。


「……どうだった?」

「……やばかった…。」

「まじ…?また話聞かせて。」

「誰にも言っちゃダメだからな…。」

「了解。」


コソコソ、と仁と会話をしていると、モリゾーを伸したらしいるいが俺と仁のあいだに現れ、バシンと仁の頭を何故か俺が持っていた教科書を奪って殴りつけた。


「いってえ!?なに!?」

「航、仁となに話してんの?」


痛がる仁を無視したるいが、俺に話しかける。


「…お尻がむずむずするはなし。」

「あ、むずむずする?大丈夫?」

「…るいが昨日、まさかの第二ラウンドまで行ったから俺のお尻が死んでいる。」

「……怒ってる?」

「今日の晩飯はカツ乗せカレーが食べたいなー。」

「奢らせてください。」

「よろしい。」


俺はふふんと笑って、廊下の隅でくたばっているモリゾーを引きづり、教室へ帰った。



「……るい凄いな。」

「あ?…なにが?」

「第二ラウンドまでしたの…。」

「………うるせえ。」


仁の問いかけに、るいは珍しく頬をほんのりと赤く染めたのだった。


(まじでヤったのか………)


その事実を知ってしまった仁は、『ヤった』という言葉を実際に聞いてしまうと、一瞬信じられず、それはもう、とても、驚いていた。


23. 彼のイキ顔を見る方法 おわり


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