その3. 矢田るいと真山 仁 [ 105/188 ]

「なあなあ。ぶっちゃけまじでるいと友岡くんさ、喘ぎ声聞こえてる時なにやってるわけ?」


突然仁は、興味津々そうにそんな話を持ち出した。


「なに、とは?」

「いやだからなに?って。」

「別に何も。」

「嘘つけ!!何もやってなくてあの喘ぎ声が出るかっ!!」

「うるせーよお前黙れば?」

「いったァァァ!!!」


大声を出した仁の頭を教科書で叩けば、仁は頭を抱えてその場に蹲った。


「最近るい、以前の友岡くんへの暴力が全部俺に向いてる気がするっ!」

「気の所為だろ。」


そっぽ向いてそう答えたが、いや、それ、結構あるかもな。と思ったのはまあ言わなくてもいいだろう。


「じゃあヤったかヤってないか。」

「ヤってない。」

「まじ?」

「つかなんでお前そんな興味津々なわけ?」

「そりゃそういうお年頃ですから!」

「ふうんあっそ。」


どうでもいいこと聞いてしまったな。

興奮気味に話す仁から視線を逸らし、手元にある教科書を意味もなくパラパラと捲った。


「じゃあやっぱ抜き合いっことか?」

「は?なにが?」

「だから何やってんのって!!」

「なんでお前にんな話しなきゃなんねえわけ?」

「喘ぎ声聞かせてるからでしょぉ!?」

「だからうるせーよ!」

「痛いってぇもぉぉ!!!」


もう一度バシンと教科書で仁の頭を叩きつければ、仁は涙目になりながら再び頭を抱えた。


諦めの悪い仁は立ち上がって「じゃあ、じゃあ、」とまだ何か問いかけようとしている。


「イエスかノーで答えてね?」

「は?やだね。めんどくせー。」

「ディープキスしてる?」

「…チッ」

「ディープキスしてる???」

「イエス。」


仁があまりにしつこいため、諦めて苛立ちながらも答えると、仁は「そりゃーするよねーそれはもう二人ともいちゃいちゃオープンだから。」と言ってにやにやしてくるから更に苛立った。


「次、んーと、乳首攻めとか?」

「イエス。」

「まじ!?」

「じゃあノー。」

「どっちだよ!!」


あーもうまじでうるさすぎ。

イライラが募り、ギロリと仁を睨みつけると、「じゃ、じゃあ次」と焦ったような表情を浮かべるもまだ続けるつもりの仁。



「フェラ。」

「イエス。」

「マジでぇ!?!?」

「じゃあノー。」

「だからどっちなんだよ!!」

「あーもーうぜーうぜーうぜー!!」


俺はあまりの仁のウザさに頭を手で支え、肘を机について、仁から完全にそっぽ向いた。


「勝手に好きなように想像してろよ!」


そう俺が叫んだのを最後に、仁はもう何も聞いては来なかった。



(クッソー、友岡くんに聞いてやろ。)



あ、友岡くんみーっけ。

放課後一人で帰ろうとしていた友岡くんを捕まえて、声をかけた。


「友岡くーん、この後空いてるー?」

「あーうん空いてるけどなに?」

「一緒に晩御飯食べようと思って!俺奢る!」

「…るいも?」

「るいはまだやる事あるからって言ってたし帰るの遅くなるってさ。ね、一緒に御飯食べよー。」

「へーじゃあるいが帰ってきてから食べる。」

「えええー!!!」


奢ると言えばあっさり頷くかと思いきや、予想外な返事をされ、俺は不満な気持ちが顔に出た。するとそんな俺を不審そうに見る友岡くん。


「なにおまえ。」と冷めた目で見てこられたから、俺はうっ…と言葉が詰まった。


「仁が自分から奢るだなんてろくなことなさそう。」

「そんなことないよ、ちょっと聞きたいことがあるだけだから。ね?一緒に御飯食べようよ。」

「え〜?」

「あ、るいが友岡くんとのこと惚気てたよ。聞きたくない?」

「よし、仁。一緒にごはん食べよう。お前の奢りな。」


……頷くのはやっ!!
そしてちゃっかりしている!!

友岡くんとごはんを食べたとるいの耳に届くとまずいので、ひそひそと弁当を買って俺の部屋に友岡くんを連れてきた。


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