hirudr!より [ 62/163 ]

hirudr!より【 ラブ度★☆☆☆☆ 】


「ポッキーかプリッツどっちがいい?」

「ポッキー。」

「ちょっと甘くなるけど大丈夫?」

「は?」

「まあいいけどね、俺は。」


いや。何がいいんだ。


突然ポッキーとプリッツを持って現れた光が、俺にポッキーかプリッツどちらがいいかと選ばせる。

今はしょっぱいものよりまあ甘い方だな、と何気なしに選んだのだが、光はべりっとポッキーの箱を開け、一袋取り出して袋を開けてポッキーを1本取り出す。


「なんだよ袋ごとくれねーのかよ。」

「あ、心配しなくても全部佑都が食べていいよ?ぜ・ん・ぶ・ね?」


そう言って、パチン!とウインクしてきた光にイラっとした俺は、プリッツの箱をひったくった。


「やっぱプリッツの気分だった。」

「あっ!!」


箱と袋を開けて、プリッツをポリポリ食べ始めた。

そんな俺を、光がジトーとした目を向ける。


「なんのために俺がこれ買ったか分かってる?」

「は?食うためだろ。」

「そう!食うため。こうして、んもんもんも」

「ぶっっ!なにやってんだよ!」


突然俺にポッキーを咥えさせたかと思えば、そのポッキーの先からモグモグと食べ進めた光の顔面が近付いてきたから、俺は慌てて口からポッキーを吐き出した。


「あ!!!良いところだったのに!」

「どこがだよ!!!」

「3センチ残すゲームだよ。これでぴったり3センチだったら俺から佑都に良いものあげる。」

「それさぁ、お前が食い過ぎて2センチとかにできるし俺不利じゃね?」

「じゃあ俺はポッキー咥えてるだけにするから佑都がもぐもぐしにきてよ。」

「ああ。なるほど?…………まだやるとは言ってねえぞ。」

「えぇぇ!今やる流れだったじゃん!」

「良いものってなんだよ。それによる。」

「それは3センチ残せた時のお楽しみだよ。」

「ふうん。…じゃあ1回だけな。」


どうせろくなもんじゃねえだろうけど、と思いながらも1回だけ光のしょうもないことに付き合ってやることにした。


良いものが良いものじゃなかったら今日1日中光のことこき使ってやろう。

などと思ったが、そもそも3センチぴったり残さねーと良いもの貰えないんだった。


これやってぶっちゃけ俺何が得なわけ?


と気付いたところで光はすでにポッキーを口に咥えており、「ゆーと、かもん」と手の動作付きで合図してきた。


まあいい、さっさとやって3センチ残して、良いものとは何かを聞いてやろう。


俺は光が咥えたポッキーの先を口に入れ、ポリポリポリ、と食べ進めた。


徐々に近付く光の顔面に、俺はあとちょっとか?もういいか?このへんか?とポッキーの長さを見ながらポッキーを食べ進めるが、


「んハ…ッ!」


突然光が咥えていたポッキーを吐き出した。


「は?お前なに途中でやめたわけ?お前からやろうっつってきたくせにふざけんなよ!」

「ご、ごめんごめん、ちょ、ちょっと刺激強すぎて私には無理だったみ、た、いっ」

「は?なにが。」

「え、キス?」

「は?なんの話?」

「え、いやポッキーゲームって言ったらあのままキスするんだよね。」

「は?お前なに言ってんの?3センチぴったり残すんだろ?お前、これ6センチくらい残ってんじゃねえかよ。」

「じゃあ佑都の負けだね。」


まったく話が噛み合わない光に、俺はだんだん苛立ちが込み上げてきた。


光の手にあるポッキーを箱ごとひったくり、ぽりぽりとやけ食いのようにポッキーを食べる。


「甘い物と辛い物は交互に食べると美味しいよ。」


そう言って、口にプリッツを咥えた光が俺に迫ってくる。


俺は苛立ち任せにそのプリッツに噛り付き、ポキっと半分にそれを折った。


「ああ!折るとか最低だから!もういっかい。」


そう言って、またプリッツを咥えた光が俺に迫ってくる。


「普通に食わせろよ!普通に!なんでお前の咥えた先っぽをいちいち食わねーといけねーんだよ!」

「え、ポッキーアンドプリッツにおいての基本でしょ。」

「聞いたことねえわ!」


その後、すべてのポッキーとプリッツを光から奪い取った俺は、ポリポリと全部俺が食べた。


ラブ度 ★☆☆☆☆ おわり


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