5. りなとりとのクリスマス [ 157/163 ]
※ S&E futureとfutureUのあいだのおはなし
〜 りな高校2年、りと高校3年 冬 〜
12月25日のクリスマスの日、りなは家に友達を呼んでお菓子を食べたりみんなでわいわいリビングのテレビを使ってゲームをしたりして遊んでいた。
身体全体を使ったゲームをしていたからドタバタと騒がしかったのか、部屋にこもって勉強していたりとが2階から降りてきて顰め面でこっちを見てくる。
最悪、こっち見てくんな。さっさと部屋戻れ。って睨み返すが、一緒に遊んでいた友達は皆「キャッ…!りなのお兄ちゃん…!こんにちは!」と少々照れながらぺこりと礼儀正しく頭を下げて挨拶してくれる。
無愛想ではあるが軽く頭を下げてから台所に向かったりとは、コップにお茶を入れてからテーブルに腰掛け、こっちを眺めてくる。こっち見んな!さっさと部屋帰れ!
そうりとに向かって心の中で毒を吐くが、友達は「キャッ…!りと先輩が見てるから恥ずかしくてできない…!」ともじもじし始めてしまった。
そんな友達の姿がりとには下手くそに見えたようで、「お前ら下手くそすぎじゃね?」と突っ込んでくる。うるさい!!!!!
キーッ!とりとを睨みつけるが、りとはりなの目など気にする様子も無くスタスタとこっちに歩いてきて「貸してみろよ」と友達からコントローラーを奪い取った。
「よっ、ほっ」と声を出しながら何故かりなたちと一緒にゲームを楽しみ始めてしまったりとに、友達は「キャ〜!りと先輩上手です〜!」とパチパチと拍手している。
友達も楽しそうだからりなが『りと早く部屋帰れ』なんて言える空気ではない。
しかしりとは受験生。「あんた勉強しなきゃでしょ。」って口を挟むと、「気晴らし気晴らし。」ってゲームする身体を止めずに返事してくる。
そして誰よりもりとがゲームを楽しみ始めていたところに、買い物に行っていたお母さんが家に帰ってきた。
「あら!珍しい。りとまで一緒に遊んでるの?」
「あっ!りなのお母さんこんにちは〜!」
「こんにちは〜!」
「お邪魔してま〜す!」
「お邪魔してま〜っす。」
最後に『お邪魔してま〜っす。』と言ったのはゲームしながらふざけたように友達の高い声を真似したりとで、お母さんは「ふっ…なに言ってんの。」って呆れたように笑っている。
友達もそんなりとにキャイキャイ楽しそうに笑っている。
最初はりとうっざ、って思ってたけど、だんだんまあみんな楽しそうだしいいか。と思い始めたりなは、その後文句を言うこともなくりなの友達に混じってゲームするりとを眺めていた。
「丁度良かったわ、みんなケーキ買ってきたから良かったら食べて行って〜!」
ゲームの途中でお母さんは、みんなに向かって呼びかけながらホールケーキを持ってきた。
「えぇ!?良いんですかぁ!?」
「クリスマスケーキ!?」
「…あ、ううん、違うのよ…明日りとの誕生日だから…。」
そう言ってお母さんは遠慮気味にりとに目を向けるから、釣られるようにみんなの視線もりとに向けられる。
「えー!!りと先輩明日誕生日なんですかー!?」
「おめでとうございますー!!」
「お祝いしなくちゃ!!!」
明日がりとの誕生日だということでキャッキャと騒ぎ始めた友達に、りとは無言で『どうもどうも』とでもいうように手を挙げている。こいつ満更でもなさそうだな。
「りと可愛いJKたちに誕生日お祝いしてもらえてよかったねー。」
お母さんが切り分けてくれたケーキを食べながらりなはそう口を開いたら「おう、一人ブタ混じってるけどな。」というムカツクことを言ってきたから、ドカッとりとの足を蹴る。
「えっ…ブタ…?私のこと…?」
「えっ…やだ、私かも…。」
「はっ!?違うって!!りなのことだから!!」
りとのブタ発言により友達がそわそわと不安そうにし出してしまったためりながそう言ったら、余計な一言を言った本人が意地悪く「ククッ…」と笑っている。
「もう!!あんたが余計なこと言うからりなの友達に不快な思いさせちゃったじゃん!!」
「ごめんごめん、俺の言い方が悪かったわ、ブタりな。」
「キーーーッ!!!」
りなはりとに腹が立ちまくりになってきてしまったが、りとはケーキを食べ終わった後「さー、気晴らしできたし勉強してこよ。」ってりなとは真逆の清々しい顔をしながら部屋に戻っていった。
「りなたちのおかげで気晴らしできたんだから感謝しろよクソゴリラ!!!」
りなが1階からそう叫ぶと同時に『バタン』と扉が閉まる音が聞こえてくる。
「キーーーッ!!!腹立つ!!!ゲームしよ!!!」
その後りなは、りとへの怒りをぶつけるようにコントローラーを持って「えっさ!ほいさ!」ときびきび動いてゲームをした。
「今年も賑やかなクリスマスねぇ。」
お母さんはそんなりなたちを見て、「ふふふ。」と楽しそうに笑っていた。
りなとりとのクリスマス おわり
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