恋するライオンと農夫(完結)


恋するライオンと農夫


昔々、あるところに、とても美しい農民の娘がいました。


娘はとても美しく、誰もが彼女に恋をしました。


しかし、彼女の父親は、来る男すべてを追い返し、なかなか結婚させません。
農夫である父親は、娘を心から大事にしていたのです。


そんなある時、恐ろしいライオンが娘の元にやってきて、結婚を申し込みました。

とてもではありませんが、そんなライオンの元に娘をやるわけにはいきません。

しかし、断れば娘共々、ライオンに食べられてしまうかもしれません。


悩んだ農夫は、ライオンにこう言いました。


「分かりました。では、娘をあなたに差し上げます。けれどその代わり、貴方も自分の一番大切なものを私にください」


それを聞いたライオンは言いました。


「なぜそんなことをしなければいけないのだ」


すると農夫は、


「私も一番大切な娘を差し出すのです。ならば貴方も自分の大切なものを差し出すべきでしょう。あなたの大切なものは何ですか?」


そう、ライオンに向かって言い返しました。
ライオンは、


「私の大切なものはこの牙と爪だ。しかたがない。これを差し出そう」


と言いました。
ライオンは娘に心を奪われていたので、すんなりと申し出に応じたのです。
それからライオンは自分の牙と爪を全て抜き、農夫に差し出しました。


「さあ、約束だぞ。娘と結婚させてくれ」


しかし、その時でした。農夫の態度が豹変したのです。


「利益のために、自分の武器を失ったお前なんかもう怖くもなんともない。やってしまえ!」

農夫はそう言って、みんなでライオンを追い払いましたとさ。
おしまい。





久世
というお話がありまして……


リリスティア
「だから?」


久世
「だからというわけではありませんが演ってみたら面白そうだなあって……


リリスティア
「誰が?????」


久世
「よくぞ聞いてくれました。よくぞ聞いてくれました。こんな感じでどうでしょうか!」


リリスティア
「またこのパターンか……」
※眠れる森の美女パロ参照



【配役】

農夫:ライザー

娘:リリスティア

ライオン:「     」

エキストラ:色々




リリスティア
「……ああ、今度は割りとまとも……じゃないな。 なんだこの空白は……」


久世
ライオンの名に恥じぬ演技が期待できますよ


リリスティア
「嫌だ。予想がつく」


久世
「ですが陛下、既にもう他の皆様には衣装合わせに入っていただいているので……」


リリスティア
「お前はどうしてこういう意味不明な企画が好きなんだ!?」


久世
「世の中は需要と供給により成り立っているのです」


リリスティア
「それはそうだが……」


久世
「さあさあ、陛下。ここまで来てしまったんですから、さあさあ」


リリスティア
「ちょ、おい! 久世!!」








ヴァイス城特別公演





ジークフリード(ナレーション)
「むかしむかしあるところに綺麗なリリスティアがいました」


レオン
(ジークフリード君、娘デス、娘!)


ジークフリード(ナレーション)※世闇文字嫌い
「……あ、そっか。えっと、うつくしいむすめがいました。だれもがむすめに恋をして、まいにちまいにち、結婚をもうしこみました」



レオン(村人A)
「リリスティアちゃん! 俺と結婚してクダサーーーイ! ヒューヒュー!」


リリスティア(農夫の娘)
「こ、困る……」


レイム(村人A)
「俺と結婚してほしいッス! 俺ならリリスティア陛……リリスティアちゃんをどんなところにも連れていってあげるッスよ! えっと……あの、お菓子屋さんとか! お花屋さんとか!」


リリスティア(農夫の娘)
「ちょっと楽しそうと思ってしまったが、すまないレイム……」


ヒル(村人C)

「貴方の心に、俺の存在が少しでもあるというならば……今だけでいい。この手が触れることを、許してくれないか……」


リリスティア(農夫の娘)

お前はもう少し村人らしくしろ


ライザー(農夫)
「おいお前ら。俺の娘に手ェ出すんじゃねーぞ。さっさとどっか行けクソが」


レオン(村人A)
「ええーっ! それは残念デス……とぼとぼ……(´;ω;`)」


レイム(村人B)
「一緒に魚屋さんも行きたかったッス……とぼとぼ」


ヒル(※村人C)

何故だ? お前が一生娘の面倒を見て行くわけではないだろう。だが俺ならばリリスティアを一生愛し守り続けることが出来る。そのなめらかな肌を、隠しきれてはいない蕾も、他の男が触ることなど、俺は許しはしない。お前の言い分も理解出来る。しかしそこまで娘を大事に思うのならば、自らの先を憂い、確かな盾を望むべきではないk」


ライザー&リリスティア
「だからお前は村人らしくしろ!!!」



ジークフリード(ナレーション)
「そんなあるひのことです。むすめのもとに、おそろしいらいおんがやってきました」















SS用その1








アルフレッド(ライオン)

「やあ、リリスティア。久しぶりだね」


リリスティア(娘)

(硬直)



ジークフリード(ナレーション)
「らいおんもまたうつくしいむすめに恋をし――」


ライザー(農夫)

「待て待て待て待て待て!!!!」


ジークフリード(ナレーション)
「なに? 僕の台詞まだ終わってないんだけど(不機嫌)」


ライザー(農夫)
「おかしいだろ!! お前らこいつが誰か分かってんのかよ!!!」


レオン(村人A)
「うわあ! 恐ろしいライオンさんデス!!」


ライザー(農夫)
「そうじゃねえ!」


ヒル(村人C)
「よくここまで来れたなライオン……。いや、獅子王と呼ばせてもらおうか」


ライザー(農夫)
本編で接触してねえのに先にそういうこと言うのやめろよ!!


レイム(村人B)
「ライオンって、なんだかリュシアナの王様っぽいッスね! 空想上の生き物だと思ってたんスけど、びっくりッス!」


ライザー(農夫)

「俺はお前の素直さにびっくりだよ!!!!」


リリスティア(娘)
「何やってるのお前……」


アルフレッド(ライオン)
「君には私が何に見えるかな? 私は、獅子を上手く演じれているだろうか……?」


リリスティア(娘)
そんなキャラクターを保った言い方をされても困る。 本当に何をしてるんだお前は」


アルフレッド(ライオン)
「君たちが面白そうなことをしているのでね。ちょっと混ぜてもらったんだ。ああ、もちろん身分は伏せているよ。安心してくれ」


ライザー(農夫)
「せめてライオンらしい衣装で出てこいよ! なんだその今から出立前の演説します体な白と金で着飾った服はよ!!!」


アルフレッド(ライオン)

「獅子王だからね……」


ライザー
「やっぱ隠す気ねえんじゃねーか!」


ジークフリード(ナレーション)
「ねー話終わらないから進めるよー。僕もう喉渇いてきちゃったし」


アルフレッド(ライオン)
「ほら、天の声もこう言っていることだし、とにかくこの場は演劇を楽しもうじゃないか」


ライザー(農夫)
「くそ……(確かに……無駄に事を荒げるよりも、とりあえず終わらせてさっさと帰らせた方がいいな……) おいリリ……、じゃなかった、娘。何かあってからじゃ遅ぇ。俺の傍から離れんなよ」


リリスティア(娘)
「あ、ありがとうライザー……」


ジークフリード(ナレーション)
「コホン。えっと、らいおんはむすめに結婚をもうしこみにきたのです。しかし、おそろしいらいおんのところに娘をやるわけにはいきません。のうふは、らいおんにある条件をいいました」


ライザー(農夫)
「てめえみたいなやつが俺の娘を欲しいだと? ふざけんじゃねえ! どうしてもほしいっつうんなら、かわりにお前の一番大事なもんを俺に差出しやがれ!!!」


アルフレッド(ライオン)
不平等条約だね?


ライザー(農夫)
「ふびょっ……じゃねえよ! 俺はな、命よりも大事なこいつを差し出そうって言うんだ。だったら、お前もそれに見合うくらい、一番大事なもんを出すべきじゃねーのか!!」


アルフレッド(ライオン)
「なるほど……それもそうかもしれないねえ……。じゃあこれはどうかな? 私が最も大切にしているものだよ。――さあ、こっちにおいで」


















SS用その2
※シグルド


ライザー(農夫)
「嘘つけええええええええええええええええ!!!!!!」



アルフレッド(ライオン)
「何故だい? 彼こそ私にとっては一番大切な(笑)、命にかえても惜しくはない(笑)、頼れる部下だ」


ライザー(農夫)
「お前そういうこと笑いながら言うのやめろよ! こっちが居たたまれなくなるだろうが!!!」


シグルド(ライオン様の一番大事なもの)
俺は……できそこないだから……


リリスティア(娘)
やめてあげて……頼むから


アルフレッド(ライオン)
「それでは約束が違うね?」


ライザー(農夫)
「大事な部下に紐つなぐ馬鹿がどこにいるんだよ! とにかくそいつじゃ駄目だ! 受け取れねえ!」


アルフレッド(ライオン)
「ふむ……そうか。じゃあ仕方ないね。私としても、せっかくリリスティアをこちらに引き込めるチャンスを失いたくないし、譲歩しよう。――これならどうかな」


























SS用その3
※バロン




ライザー(怒りの農夫)
「だからそれお前の大事なもんじゃなくて要らない者だろうがああああああ!!!!!!」

アルフレッド(ライオン)
「これなら本当に大事だよ……本当に……(切ない声)」


ライザー(農夫)
「嘘つくな! しかもなんだそのジジイ、聖石の中に入ってんじゃねえか! 瓶詰めフィギュアみたいになったジジイなんざ要るか! 飾る場所に困るわ!!!」


アルフレッド(ライオン)
「本当だね、もう少し小さくしようか。小さいおじいさんなら可愛いかもしれない」


リリスティア
(おじいさんって言った……)


バロン(ライオン様の大事なもの/譲歩した結果)
「ふん、小童めが! ライオン陛下の崇高な自己犠牲の精神を理解できぬとは愚かなり!!」


リリスティア(娘)
(ライオン陛下って言った……)


ライザー(農夫)
「とにかくそれも駄目だ! ったく、だったらこっちから指定させてもらうぞ! その剣と、お前が持つ権力全てだ! これでどうだ!」


アルフレッド(ライオン)
死皇帝シウバとかどうかな?」


ライザー(農夫)
「だからそれ大事じゃねえしお前のもんじゃ……あああああああもおおおおおおおおおおお話を聞けえええええええ!!!!!」


ジークフリード(ナレーション)
「こうしてのうふは、らいおんをじりょく……自力で追い出すことにせいこうしました。このお話の教訓は、「自分の優れたところを大切にしなくてはいけないのに、他の人の言葉を簡単に信じて自分の利点を省みないものは軽蔑される」ということです」


レオン(村人A)
「つまり、自分の利益に目が眩んで、大切なものや捨ててはいけないものを見失ってはいけないということデスね!」


ジークフリード(ナレーション)
「そうそう! 僕ちゃんと、世闇文字読めたよ!」


リリスティア(娘)
「偉かったな。最後の方はすらすらと読んでいたわね」


ジークフリード(ナレーション)
「でしょー!」


ライザー(農夫)
「もう二度とやらねえからな!!! 演劇なんざ、もうぜってーーーやらねえ!!!!」





終わり






久世
「彼をメインキャストに据えると面白いくらいに話が進みますね……」


弥一
「………………ありゃー将来ハゲんじゃね?」



END


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