13

「二人共久しぶり」
「なんか悪いな、こっちまで来てもらっちまって…」
「別にいいって」

今日は土曜日。
いつもの如く暇な土曜日を過ごすはずだった私のところに来たのはアキラからの遊びの誘いだった。
昨日のメールでRAUNDO1に行く事に決定し今日がその当日。
久々に私とアキラと深司の三人で会う事になった。

「んじゃあ今日もリズムにノっていこうぜ!」
「……神尾暑苦しい」
「じゃあまず何から行く?」

壁についている案内板を眺めながら一人ずつ行きたいものをあげていく。
結果、偶然にも私と深司の意見が一致し多数決によりアーチェリーに行く事になった。

「じゃ、行こっか」





「……アキラ、さっきからなんで一本も当たんねぇんだよ」
「知るか!俺が聞きてぇっつーの!」
「それに比べて深司は上手いなー」
「どうも」

アーチェリーコーナーにやってきた私達。
向こう側にあるバッティングは満員でさらに数名が並んでいるというのにアーチェリーは私達以外誰もいなかった。
それを良いことに20分くらいぶっ続けで遊んでいるが、的中率がかなりいい深司に比べてアキラは壊滅的だ。

「……神尾ってテニスでもコントロール力部内で低いよね」
「な、そんな事ねえよ!」

そんな二人の会話をしみじみと聞きながら、私も矢を射るのだった。
……その後もアキラの矢が的に刺さる事は無かった。





アーチェリー、バスケ、バッティング、その他もろもろのスポッチャを満喫した私達はゲームコーナーに来ていた。

「俺は今日という日のためにリズムゲームの腕を磨いてきた………怜!あの日の再戦の約束、今ここで果たしてもらうぜ!」
「覚えてやがったか……ま、いいだろ。受けてたつ」

基本的に昔から無気力だと言われていた私も好きなものや大切なものの為なら動く。
無論ゲームなら別格だ。本気で相手してやんよ!

「んじゃあ王道中の王道、ポップンからだ!」





「まあ、元気出しなよ神尾。次元が違うんだから」
「そーそー」
「うっせー!!」

再戦の約束とやらが終了し、前回と同じく休憩コーナーでお茶をする私達。
もちろんコーヒーはアキラの奢りとなった。

「なんでこんなに差があるんだぁ……?」
「ま、リズム感なら誰にも負けないだろうね私」
「何か音楽やってるの?」
「うん、バンドやってんだ」
「……バンド?」

固まる深司。心なしかその顔は驚きと期待が滲んでいる気がした。

「へーバンドねぇ。……あ、もうこんな時間か。んじゃあ深司、そろそろ帰るか」
「あ…ああ、そうだね」

ぐびっとコーラを飲み干したアキラが言う(喉がグワッてなんないのか?)。深司もそれに答え、今日はお開きにする事になった。

「じゃアキラ、次までにもっと腕を磨いておけよ」
「なにぃ〜!?見てろよ怜!」
「深司もまた遊ぼうね」
「うん。……あ、」
「ん?」
「……いや、なんでもない」

何か言いたげな顔をしているので気になったが、まあなんでもないと言っているので深くは追及しない事にした。

「それじゃ、また」







自宅。
夕飯は作るのが面倒だったので近場のコンビニで買ったサンドイッチを食べて済ました。
デザートに剥いたリンゴをかじりながらダラダラとソファでくつろいでいると、携帯が意外な人物からの着信を知らせた。

「もしもーし」
『あ……もしもし怜?』
「うん。どうした電話なんて」
『…うん、まあちょっと…』

深司にしては珍しく歯切れが悪い。
一体何の話なのか……。

『…確か怜、バンドやってるって言ってたよね』
「まあね」
『…それさぁ、俺もいれてくれない?』
「……え?」
『あーあ、言っちゃった……でもどうせ俺なんかメンバーにはしてくれないんだろうなぁ。これでも結構勇気だして言い出したんだけど……』

あまりに衝撃的すぎる深司の言葉は後に続くぼやきのインパクトを感じさせないくらい強烈なものだった。






原作どこいった

おいおいまさかこいつも音楽やってんの?
……なかなか原作沿いにはいかねぇな。






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