18話







『……ん……』

「姉ちゃん!!」

『…………ルフィ…?』



ぼんやりと浮上する意識の中、目をゆっくりと開くと、そこには涙をこらえるようなルフィの顔が目の前一杯に広がっていた。




え?何?何があったの?


何で俺、寝て……って、そうだ!



瞬時に気を失う前の事を思いだし、ガバリと体をおもいっきし起き上がらせた。



『ルフィっお前っ!!ケガはっ「姉ちゃん!いきなり動いちゃダメだ!!」ぐわっ!!!』



起き上がった俺の体をルフィは反射的にかなりの勢いで押し戻した。その威力でまた俺の意識が彼方に飛んでいきそうになってしまったじゃんか…。



っ…ルフィお兄ちゃん、死にそうだよ…。


一瞬神ジー様がかなり驚いた顔で振り返ったのが見えた……よかった、召されそうになったけど何とか生きてるみたいだ……

本当よかった!!!



まぁ、それはともかくとして。





『ルフィ、あれから俺達どうなったんだ?』



ベッドに逆戻りした俺はルフィの泣き腫らしたと思われる赤い目元に触れ、そこを手で撫でる。そこはさんざん泣いたのが分かるほど目が赤くなっていた。


何度も優しく撫でるとぐっと唇を噛んだルフィがあれから何があったのかを教えてくれた。





『…………………そう…』


やっぱりシャンクスがあの時、俺達を助けてくれたんだな…

…あの片腕と引き換えに……。




「シャンクス、いだいばずなのにっわらっでだずげでぐれだ……っねえぢゃん!!おれっおれづよぐなりだい!!!」



涙をポロポロこぼして訴えるルフィを腕の中に抱き締めてあやすように頭を撫でてやる。

そして、その震える背をゆっくりとリズムよく叩いてやった。




『そうだな、ルフィ。俺達は弱い、まだ、あんな山賊にも勝てないよわっちい子供だ…だけど、だからこそ、俺達はもっと強くならなきゃいけない。大事な人を、大事な思いを貫けるような、シャンクスのような強い心を…力を持てるように…っこれから強くなろう、な?ルフィ……』



「…っう"ん"!!」



力強く頷いたルフィは俺の腕の中でまたひとしきり泣くと、疲れてしまったのか俺が今まで横になっていたベッドで静かに眠ってしまった。





『ルフィ……俺も強くなりたい……。お前がもう泣かなくてすむように、強く。』




そう呟いた声はルフィの柔らかい髪を揺らして空気に溶けていった。








18話

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