6話
※主人公が少しドラゴンに酷いです。
って…そんな事もありましたね〜…。
ザザン……と波打つ海の音が耳に届く。
『スペシャル〜ご〜機嫌で〜ハッピーになれるー♪魔法の〜合言葉〜♪』
え?今、何してるかって?
岩場に座って海を見ながら歌ってるんだけど?
ちなみに歌は
「 晴天☆OHA♪YAHHO / HAYATO様」
の曲で「うたのプリンスさま♪」ってアニメの曲だよ。人気作だから皆知ってるんじゃないかな?ついでに俺はキャラと歌しか知らないからあしからずにな?
『晴天☆飛んでけおはやっほー!』
この曲歌うと落ち込んでたらり、憂鬱な気分がなくなって元気になれるんだよなー。
え?そんな事は聞いてない?
あれからどうしてたのかが知りたいって?
……ふふふふ……
そんなに俺の黒歴史を聞きたい?…いいよ、聞かせてあげるよ!
ミルクとかおしめとかさっ、確かにこれも俺の黒歴史なんだよっ……けどね?
けど記憶の底に封じ込めたいのはそこじゃないんだよっ
だって…………あのドラゴンがっ!
あのドラゴンが俺のおしめを嬉々として変えてくるんだよ!!?怖くない!?怖いよね!!?怖いんだよっ!!
そのたんびに泣き出した俺は悪くないからねっ!?
……落ち込んだ姿見た時は、さすがに罪悪感芽生えたけどさ…。
そんなドラゴン……父さんが今どうなったかだって?
…………さぁ?知〜らない
ルフィが生まれてすぐ俺達を置いて行っちゃったからねぇ、どこぞで革命軍やらやってるんじゃないかな?
心配じゃないのかって?
ん〜……別に。
無事なのは知ってるし、それにルフィを置いていったネグレクト野郎だし。まぁ、あんなんでも大事な親は親だからね、頭の片隅にでも置いといてたまに心配してやるかなー。
え?ヒドイ?育児放棄した野郎にはこれで十分なんだよ♪
しかも!何故か俺だけを革命軍につれていこうとして大変だったんだからね!?あの時は…赤ん坊時代を抜いて初めてルフィと離れたくないってギャン泣きなるものをしたのを覚えてる。
俺をルフィから離れさせるなんていくら父親だろうが許さないし!その際、かなり落ち込んでいたけど知るか!!
あ、ちなみに俺はその時2歳だったよ。
ちゃんと子供子供していたよ?でないと子供らしくない子供の出来上がりだからね!そこは抜かりなくやったよ!意外に演技派だった自分に当時はビックリしたけどね
そうそう、この世界の主人公、ルフィと俺は2歳差なんだ。俺が生まれて2年後にルフィが産まれた。
……あれは本当に感動だったよっ!?
だって俺に初めて弟が出来たんだからっ
この世界の主人公ルフィだってことは知ってるけど、今はそんな事知ったことじゃないよっ!
だってあんなに可愛いんだよっ!?
産まれたばかりでまだ目も開いてないのに恐る恐る触れた俺の指を小さい掌でぎゅっと握ってにぱ!って笑ったんだよぉぉぉぉっ!!
可愛くない筈がないだろうがぁぁぁっ!!
神ジー様が言ってた慈しみ守りたいと思う存在ってルフィの事を言ってたんだねっ神ジー様ここに産まれさせてくれてありがとうぅぅぅ!!!
そうして、生まれ変わった俺は着実に道を踏み外してるようなそうじゃないような前世ではよくわからなかったブラコンになってしまった。
ブラコン上等だぁ!!
そんな俺も今は8才。ルフィは6才になった。ガープじーちゃんによってフーシャ村に預けられた俺達はすくすく育った……ってのは嘘で。
何故か俺は産まれた時から体が弱くて病気になりやすかった。何故だ?とも思ったけど多分、転生した影響かもしれない、よくわかんないけどさ。
ふんふん♪と上機嫌におはやっほー♪と歌っていた俺の耳に遠くから俺を呼ぶ愛しくて愛しくてたまらないあの声が届いた。
『ルフィ「姉ちゃんー!」………………』
ぶんぶん手を降って駆けてくるルフィにニコニコ笑顔のまま固まった。
ルフィ、いそいで俺を探してくれていたのは嬉しいし物凄く可愛い、だけど…だけどね?
『ルフィ……姉ちゃんはやめようよ』
「やだ!」
『………………』
うん、言いたい事はわかるよ?分かるけどね?
…俺さ、体が弱いって話しただろ?そのせいで赤ん坊の頃から女の服を着せられて育ったんだよ。
ほら、よくあるじゃん?体の弱い子は成人するまで女性として育てると丈夫になるとか。だから、そうして皆に育てられた俺は見た目は完璧な女になってね…?…それを見てきてるからかルフィは俺を何度言っても【姉ちゃん】て呼ぶんだ…。
ちなみに補足としては、初めてのルフィが喋った言葉は【ねーね】だからね!ガープじーちゃんはorzになったけど俺はガッツポーズを決めてやったさ♪あれにはきゅんっときて止まらなかった。
あ、ちなみにルフィはちゃんと俺が男だってのは知ってるからな!?そこは勘違いしないようにっ
けど俺は姉ちゃんじゃなくて兄ちゃんって呼んでほしいのよ!!!
心の中でガッデム!と叫んでいると不思議そうにルフィはきょとんとした顔でどおしたんだ?と聞いてきた。
『……何でもないよルフィ。でどうしたの?』
「あ、そうだ!酒場でシャンクス達が姉ちゃんの歌聞きたいって言ってたから呼びに来たんだ!」
はっとしてキラキラした顔で言ってくるルフィに俺は遠い目をした。
シャンクス。
そう、お察しの通りあの【赤髪のシャンクス】だ。
いつものようにこの岩場で歌っていた時に、いつの間に上陸したのか突然現れたシャンクスと遭遇して歌を聞かれて以来、何かと俺の歌をご所望してくるのだ。
なぜだよ……。
しかも場所が酒場という、みんながいる場所でだ…。人前で歌うことのなかった俺にはかなりの勇気がいったんだからね!?しかも俺が歌えることが村中に広がって褒められる褒められる……っうぅ、なんの天罰ですか!?
顔を真っ赤にして逃げていく俺を見る人々の視線が微笑ましそうで、軽く死ねたよ……?(涙
「姉ちゃん!ほら、早くいこうぜ!?」
『……アア、イコウカ……(死地に)』
にっしっし!と嬉しそうに笑って俺の手を取り走り出すルフィは可愛いっけど……俺の心は今にも神ジー様の元へと逆戻りしそうだった。
6話